2020年度「一人校長カフェ」(8) 読書のすすめ②
「校長室の窓」をご覧の皆様。こんにちは。学習サポートのほか家族で楽しめるゲームなど、先生方が出演する動画が少しずつ増えてきましたので、本校生徒の皆さんはホームページまたはiTunesUで是非ご覧になってください。
さて、連載の2回目です。前回の記事の最後に、「芋づる式!読書MAP」(白マップ)を作成するために、私の本棚に残っていた本をいくつか取り上げてみました。それぞれの本のつながりを強く意識して読んだ覚えはありませんが、はじめてそれらの本を一堂に集めて写真に撮ってみました。
▼前回「芋づる式!読書MAP」(白マップに記入)で紹介した本
今回の「読書のすすめ」連載の目的は前回記させていただいたとおりで、決して特定の本を読むことを勧めることではありませんので、1冊1冊の内容を評価するようなことはしませんし、そもそも私は読書について専門的に学んだことはないので評価などできませんが、読書をキーワードとしたときに、それぞれの本の間にどのようなつながりがあるのかを改めて考えてみました。
読書MAPの「はじまりの本」に選んだ齋藤孝氏の『読書力』(齋藤孝著、岩波新書801、2002年)は、私が以前勤務した学校で朝読書をすることになった際に、子どもたちとどのように向き合うべきかを考えるために読んだ本です。本の発行年を見ると「2002年9月20日第一刷発行」とありましたので、今から18年近くも前に読んだことになります。今回改めて読み返してみると、好きな著者の本を読むだけでは自分をつくることはできませんよという文脈の中で、「一つの本を読めば済むというのではなく、その本を読むと次々にいろいろな本を読みたくなる」(同書104ページ)との記述もありました。また、「本を読んだら人に話す」(同書188ページ)という項目もあり、これは私たち大人でもよくしていることですし、読書にも張り合いが出ます。食事のときなどに家族と話すことは今のような時期でもできますし、担任の先生から電話が来たときに話してみるのも良いと思います。
同じ読書論つながりで、『読書力』から「芋づる」でつないだのが、前回紹介させていただいた出口治明氏の『人生を面白くする本物の教養』(出口治明著、幻冬舎新書391、2015年)と同じ著者の『本の「使い方」』(出口治明著、角川oneテーマ21、2014年)です。私は2015年発行の『人生を面白くする本物の教養』を先に読んで、次に2014年発行の『本の「使い方」』の存在を知り読みましたが、後者の本を読んで、出口氏が「本・人・旅」と考える背景に触れることができました。簡単に紹介しますと、長野県小諸市の藤村記念館に展示されている、近代の詩人、小説家である島崎藤村の「人の世には三智がある 学んで得る智 人と交わって得る智 みづからの体験によって得る智がそれである」(同書29ページ)という色紙がヒントになっているようです。
私が前回紹介した読書MAPでは、それ以外にも『読書力』から7本の芋づるが伸びています。中には三万冊もの蔵書を手放さざるを得なくなった著述家の話(紀田順一郎著『蔵書一代』松籟社、2017年)や岡山県倉敷市の古本屋さんの話(田中美穂著『わたしの小さな古本屋』ちくま文庫、2016年)、校正、印刷、製本など書籍ができるまでのことを記した本(稲泉連著『「本をつくる」という仕事』筑摩書房、2017年)などもあり、今振り返ると、なぜこのようなジャンルの本を立て続けに読んだのだろうと不思議に思います。自分の部屋にある本を「芋づる」でつないでみるのは結構面白いですよ。
ちなみに私は、講演会などに参加して興味や関心を持った方の本を読むことがよくありますが、出口氏の場合のように、本を先に読んでからご本人の講演を聴きに行くこともあります。今回の最後に、このように直接お会いしたり講演などを聴いたりしたことのある方の本を集めて読書MAPに書き込み(青字が新たに書き加えた部分です)、写真に撮ってみましたので紹介します。
▼講演などを聴いた方の「芋づる式!読書MAP」(白マップに記入)とそれらの本の写真
次回は少し視点を変えて記したいと思います。本日もご覧いただきありがとうございました。
令和2年(2020年)5月14日