臨時休業の延長にあたって
「校長室の窓」をご覧の皆様、こんにちは。
新型コロナウイルス感染症の影響による臨時休業は、当初5月6日水曜日までの予定でしたが、北海道及び札幌市の感染状況が思わしくなく、5月1日金曜日に札幌市教育委員会から通知があり、一旦5月10日日曜日まで延長になったあと、5月5日火曜日に同じく札幌市教育委員会から通知があり、5月31日日曜日まで休業期間が延長となってしまいました。保護者の皆様と生徒の皆さんには、5月1日金曜日と5月7日木曜日に、それぞれ本校ホームページと保護者メールでご連絡をさせていただきました。
当初の予定が1か月近く延びたことで、臨時休業期間が昨年度末とあわせると約3か月に及び、保護者の皆様や生徒の皆さんも様々な不安を抱いているのではないかと思います。学校では5月7日木曜日、いわゆる「三密」を避けながら教職員が集まって今後の対応について話し合いの機会をもち、基礎期、充実期、発展期の期ごとに、生徒の皆さんとの定期的な連絡方法の確認や学習サポートの具体的な方策などについて情報共有を図り、本校ホームページやiTunesUを用いて連絡させていただいたところです。私自身もこの連休中一切外に出ない生活を送ってみて感じたことがありましたので、「校長室の窓」をご覧の皆様と共有したいと思います。
改めて整理してみると、生徒の皆さんが感じる不安は大きく分けると次の3つあるように思いました。
① 新型コロナウイルス感染症に対する不安
② 当たり前の日常生活を過ごせないことに対する不安
③ 学習の遅れに対する不安
①の新型コロナウイルス感染症に対する不安については、札幌市からも「かからない」「うつさない」「なやまない」という3つのポイントが示されています。「かからない」ための方法の一つが手洗いです。「うつさない」ための方法の一つが咳エチケットやマスクの着用です。そして最後の「なやまない」に関連して紹介したいと思ったのが、日本赤十字社のホームページ内にある「ウイルスの次にやってくるもの」という動画です。ニュースで取り上げられていましたので、すでに視聴された方も多いのではないかと思います。「ウイルスから身を守るためには?」「きちんと手を洗うだけで、感染する確率はぐんと下がる」「でも、心の中にひそんでいて、流れていかないものがある」というナレーションから始まるこの動画は、私たちの心の中にひそむ「恐怖」とその対処法について教えてくれます。この動画を視聴することで不安が和らぐ気がしました。3分ちょっとの動画ですので是非視聴してみてください。
▼日本赤十字社のホームページ内「ウイルスの次にやってくるもの」の動画はこちらから視聴できます。
⇒ http://campaign.jrc.or.jp/kansensho/
②の「当たり前の日常生活を過ごせないことに対する不安」について私が感じたことは、不規則な生活を続けることが不安をより強くするということです。こういうときだからこそ、運動(適度に体を動かす)、睡眠(しっかり寝る)、食事(バランスよく食べる)の健康三原則を強く意識しながら、普段以上に規則正しい生活を心掛けることが大事だと思います。臨時休業のはじめの頃は、起きたい時間に起きて、食べたい時間に食べて、寝たい時間に寝るという生活を満喫した生徒の皆さんも中にはいたかもしれません。でも、このような生活を長く続けることが心と体の健康に結びつかないことは、はじめに記した通りで、今回実感した人もいると思います。
ちなみに、私の現在の生活を紹介しますと、学校に出勤する日も出勤しない日も、起床時間、朝の検温の時間、朝のラジオ体操の時間、朝食の時間、歯磨きの時間・・・夜の検温時間、夕食の時間、入浴の時間、歯磨きの時間、読書の時間、就寝時間というように、1日の主要な行動時間を決めるようにしました。やってみると、意外な発見でしたが、リズムを刻むような生活には不思議と安心感があります。学校が再開し生徒の皆さんが登校するようになるまで、この生活を続けてみようと思います。生徒の皆さんも、毎日のタイムスケジュールをグラフに書き出して、家族の方と約束事として共有するのも良いかもしれません。
なお、不安が解消しないなどの場合は、臨時休業期間中であっても、先生方はもちろんスクールカウンセラーの方などに相談することもできますので、遠慮なく連絡してください。私たち教職員も出勤自粛を求められていますが、各期の先生、養護の先生、生徒支援部の先生がそれぞれ、誰も学校にいない日が生じないようにしています。
③の「学習の遅れに対する不安」も大きくなってきたと思います。インターネット環境も家庭ごとに異なりますし、セキュリティ上の制約もありますので、塾や予備校のようにオンライン授業を実施することは難しい状況です。
本校の先生方は、6月からの学校再開を見すえ、臨時休業中の今は、生徒の皆さんが自宅で一人でも取り組めることを中心に計画的に学習することで学習習慣を崩さないようにすることと、できるだけ学校再開後の授業で生かせるような学習課題に取り組んでもらうことを意識して課題を提示しています。6月から学校が再開された場合は、3月から5月までの間に学習できなかった内容や臨時休業中に生徒の皆さんが取り組んだ学習内容のことを十分踏まえて授業を行うことができるよう、学校としても準備を進めていくこととしています。
最後に、そうはいっても時間を持て余しているという生徒の皆さんがいましたら、読書をすることも選択肢の一つとしてお勧めします。私が以前講演を聴いて感心した、立命館アジア太平洋大学学長の出口治明さんという方は、「本・人・旅」から多くのことを学んだと話されていました。出口さんは著書の中でも、「さまざまな本を読み、さまざまな人と出会い、さまざまな場所を旅すると、世界にはこれほど素晴らしいところがあり、こんなにも素晴らしい人がいるのかと、その広さと豊かさをあらためて実感します」と述べられています。今は、人に会うことも旅をすることもできませんが、本を読むことは止められていません。本校にも朝読書の時間はありますが、学校が始まるとまとまった時間を割くことはできません。今なら、十分な時間を取ることも可能ですので、各家庭にある本で、読みかけの本や購入したまま忘れられている本がありましたら是非読んでみてください。
なお、臨時休業期間の延長に合わせて「一人校長カフェ」も再開し、時間を持て余し気味の生徒の皆さんを意識しながら、私の行ってきた読書について、何回かに分けて記そうと思います。よろしければご覧ください。本日はご覧いただき、ありがとうございました。
令和2年(2020年)5月11日