「校長室の窓」をご覧の皆様。こんにちは。私の今朝の検温は平熱でした。4月14日火曜日から臨時休業が始まり2週間あまりが経過しました。この間、特に4月に入学した新1年生の皆さんを意識して、本校を知ってもらう企画を6回にわたって掲載してきました。今回はその最終回として学校教育目標を取り上げたいと思います。

  「わたし、アナタ、min-na そのすがたがうれしい」という学校教育目標は、本校初代校長の相沢克明先生が制定しました。まずは、開校当初から一貫して文言を変えずに学校案内パンフレット等で説明させていただいている制定の趣旨を改めて確認してみます。


 本校は、育てたい生徒像に、「6年間の連続した学びを生かして、札幌で学んだというアイデンティティを持ちながら、将来の札幌や日本を支え国際社会で活躍する、知・徳・体のバランスのとれた自立した札幌人」を掲げ開校しました。

 この育てたい生徒像を踏まえ、本校における全ての教育活動が、これまで慣れ親しんだ考え方と違うものと出会った時の驚きや戸惑いに正面から向き合い(わたし、アナタ、min-na)、調整や折り合いをつけていきながら、自分と違う存在の意味を理解し受け入れていく方向(そのすがたがうれしい)を目指していることを示しました。

 また、本校における全ての教育活動を通して身に付けて行くことが期待される力や心-「課題発見・解決力、思考力・判断力・表現力」、「豊かな人間性、国際的な広い視野、札幌に愛着を持つ心、地域に貢献する気持ち」、「自らの将来を切り拓く力、魅力ある個性」-を育むことを目指し、日々の学校生活の中で生徒が意識することを【生徒のすがた】、そのために教職員を始めとした周囲の大人が果たすべき役割を【大人のすがた】として示しました。

 (2015年用から2020年用の「学校案内パンフレット」より引用)


 この説明文は相沢先生が、当時の開校準備に当たっていた教職員とも協議を重ねつつ、熟慮に熟慮を重ねて記したものであり、このあともずっと受け継いでいく必要があると考えています。 

そのうえで、私が本校に着任し、校長としてこの学校教育目標と向き合ったときに感じたことを、平成31年度の第5回入学式の式辞で述べさせていただきました。今年度の入学式では、時間短縮のため詳しく述べることができませんでしたので、この場をお借りして、改めて引用させていただきます。


 「わたし、アナタ、min-na そのすがたがうれしい」。皆さんはこの学校教育目標を初めて目にしたとき、何を感じたでしょうか。なぜ、「わたし」はひらがな、「アナタ」はカタカナ、「min-na」はローマ字なのか、「うれしい」とはどのような感情を表す言葉か。このように、何を感じたかは一人一人異なっていると思いますが、もちろん私はそれで良いと思います。校訓同様、この学校教育目標にも、あらかじめ正解が決まっているわけではありません。 

ただ、せっかくの機会ですので、私がこの学校教育目標を見て大切にしたいと感じたことをお話しします。「わたし」というのは隣にいる「アナタ」とも、「わたし」が属している大勢の「min-na」とも違います。しかし、違いはときに比較するという意識を生み出します。そして違う者同士の比較では、決して全ての人が「うれしい」と感じることにはなりません。「わたし」を「アナタ」と比べたとき、そこには、上だとか下だとかいう意識が働いて、優越感や劣等感のようなものが生まれがちです。「min-na」の中で「わたし」はどの位置にあるのかを意識し出すと、順位というものに一喜一憂することになるかもしれません。 

そもそも違っている者同士を比べ合い、優劣や順位をつけるのではなく、同じ「わたし」の中で、過去の「わたし」と今の「わたし」を振り返って何が伸びたのか、あるいは、将来の「わたし」を想像して、今の「わたし」に足りないどんな力を伸ばしたいのか。「min-na」が、このように自分自身の成長と向き合いながら学校生活を送ることができれば、一人一人の「わたし」の心の中には自然と「うれしい」という感情が湧き上がってくるでしょうし、隣にいる「アナタ」も比べるのではなく、個性を良さとして素直に受け入れられるようになると思います。本校は、「min-na」が常に、そんな思いを持ちながら学べる学校でありたいと願っています。皆さん、是非、比較よりも伸びを実感できる学校、すなわち、「わたし、アナタ、min-na そのすがたがうれしい」が日々実現する学校を一緒に作り上げていきましょう。

(平成31年度第5回入学式式辞より引用)


学校教育目標も校訓と同様に、決まった解釈があるわけではありませんが、本校で学ぶ全ての生徒のすがた、教職員を始めとする周囲の大人のすがたは明確に示され、大きな方向性をしっかりと指し示しています。私たちは、常にこの学校教育目標を意識する必要があると改めて感じました。

本日はご覧いただきありがとうございました。

令和2年(2020年)4月30日