全校集会に先立ち、賞状伝達式と壮行会を行いました。壮行会では、全道大会出場が決まった女子ハンドボール部と男女剣道部に、生徒会長

と校長から激励を行い、選手の健闘を祈りました。その後に、全校集会を行い、以下のような内容のお話をしました。

 

 改めて、皆さん、こんにちは。

 今年最後の授業日となりました。3年生にとっては3年生みんなが揃うのも2月の卒業式予行・同窓会入会式と3月の卒業式だけになりまし

た。2月に同窓会入会式を行うと言いましたが、新川高校の同窓会は「黎翔会」と呼ばれており、今年、6年ぶりにこの同窓会が行われました。

通常、ホテルなどで行うことが多いですが、今回は学校で行いましたら、200名を超える卒業生が集まりました。1期生や、最近卒業した42期

や43期生も参加しておりました。新川高校の卒業生である先生方も参加し、会は大変盛況で、自分の近況や記録をたどりながら高校時代の思い

出について花を咲かせていたと思います。

 さて、今回は「選択」ということについて話をしたいと思います。

 私は30代のころ野球部の顧問をしていました。練習試合では、高校生であった宮崎純也先生が対戦相手の学校のピッチャーとして投げていた

ようですが、もう20年以上も前の話なので記憶があいまいです。この話は最近宮崎先生から聞きました。その学校とは公式戦でもよく当たり、

同じ代の生徒が秋に対戦し、春にも対戦し、なんと夏にも対戦しました。3回連続対戦した記憶が鮮明で、その他の記憶はあいまいで都合のい

いように編集されています。

 今度の日曜日に、2000年に高校を卒業した野球部の生徒と懇親会をすることになっています。この学年は担任をしていた学年でもありまし

た。2000年の卒業なので現在43歳。もういいおじさんです。おそらく、あの場面はこうだったというような思い出話が出てくると思いますが、

もう25年も前のことなので、おそらく自分の都合のよい記憶を語るのではないかと思っています。

 東京大学の先生がエッセイ*1 の中で「過去の自らの振る舞いを現在の自分とつじつまが合うように心の中で創作物として自動的に都合よく

編集している」と語っておられますが、実際にそのようにしてきた自分がいるものの、本当にそれでよいのかとも考えてしまいます。例えば、

選択について、様々な分岐点で重要な選択をしてきたにもかかわらず、あたかも何もしてこなかったことにするには、未来の自分に責任を果た

していないと思ってしまいます。

 皆さんはこれまでも様々なことを選択してきたと思います。あとになってその選択が成功だったというだけではなく、失敗だったということ

もあったかもしれません。しかし、大切なのは、うまくいったうまくいかなかったということにかかわらず、自分でその選択をしたと事実です。

 そして、

 2か月ほど前ですが、HBCのテレビで「クレイジー・ジャーニー」という番組でアドベンチャーレースのことが放送されました*2。 チェッ

クポイントだけが定められていて、どこを進むのかは自由。道はあってないようなもの。そのレースに日本から出場した方が「どこを進むのか

迷ったとき、こうだと決めたらそれを突き進む。 一度選択したのなら、 困難にぶち当たっても、やっぱりあっちが良かったというように迷っ

てはダメだ」と番組の中で話していました。

 どのような選択をするにしても、一度選んだその選択が最適な選択になるようにふるまう強い意志が必要だと思います。このことを踏まえ、

次のステージを選択した3年生、これから選択する1・2年生の皆さんは、これから困難があると思いますが、それを覆い隠すほどの大きな希

望を抱きながら前に進んでほしいと思います。

 

  *1  東京大学大学院人文社会系研究科・文学部HP 教員エッセイ「私の選択ー思い出は作られる 村上 郁也 教授」より

   *2  TBS クレイジー・ジャーニー「7日間で480km先のゴールを目指す!超難関ニュージーランド大会 ドキュメンタリー」(2025年10月27日(月)HBCで放送)

 

                                                  令和7年(2025年)12月19日
                                                    校 長  宮 田 佳 幸