校長室から:思わず頷いたこと
だいぶ気温が下がってきました。暑かった今年の札幌ですが、雪虫が飛んでいるのを見ると、 もう冬がすぐそこまで来ている
感じがいたします。
少し時間は経ってしまいましたが、今年の暑い最中の夏休みに、数学科の近藤陽祐先生にお願いして、 2年生の数学の講習に
5日間参加させてもらいました。
私は数学の教員ですが、教室で生徒に数学を教えたのはもう20年ほど昔の話になってしまいました。そのような状況での講習
の受講でしたので、結構細かいところを忘れていることがわかり、教員生活の最後は一般教員として数学を教えたいと考えてい
る私は、これはもう一度しっかりと数学に向き合わなければと考えたところです。
インターネットのコンテンツが充実してきたこともあり、Youtube で数学を学ぶことも多くなりましたが、特に大学の数学と
物理の内容を発信している「ヨビノリたくみ」さん( 以下、たくみさん ) の Youtube をよく見ています。いわゆる受験に必
要な解答する力を身に付けるということではなく、数学的な概念を学ぶ機会にしています。
例えば、「ヒルベルトの無限ホテル」というのをご存じでしょうか。 無限の数の部屋が満室になっているところに無限の数の
人がやってきて、その人たち全員を宿泊させるというものです。これもたくみさんの Youtube*1 で 解説しています。
そんなたくみさんがイベントのスペシャルゲストとして札幌にいらっしゃることがわかり、 早速申込をしたところ参加できる
ことになり北海道大学へ行ってきました。

北17条にある北海道大学の高等教育推進機構の大講堂 SkyHALLで行われた「未来
の札幌を知る!よくわかるGXセミナー」*2 には、大人の参加者よりも高校生や大
学生の参加者のほうが多く、 皆さん真剣にお話に耳を傾けていました。
セミナーは、 北海道大学大学院工学院環境工学部門教授の石井一英先生からのGX
の基本的なお話から始まり、エア・ウォーター株式会社グリーンイノベーション開発
センター長の田中真子さんからは実際に北海道内で展開されている カーボンニュートラルについてのお話を伺いました。
最後に、 上記のお二人に、 株式会社調和技研代表取締役社長の中村拓哉さん、北海道新聞社編集局特別編集委員兼解説委員の
鈴木徹さんを交えてのパネルディスカッションがあり、休憩なしのあっという間の2時間でした。
改めて、GXについて学びを深めたところですが、 最後に参加している若い人たちに向けて、 エア・ウォーターの田中さんが
「会社に入社に入社してくる若者は知識が豊富で何でもできる優等生で、 デスクワークについては文句のつけようもないほどよ
くできる。 しかし、失敗を恐れるあまり積極的な行動があまりとれていない」との話を聞き、「若者の特権は失敗することで
はないか」と考えている私は思わず頷いてしまいました。 新川高校の生徒に注文するとすればまさにこの点であり、 部活動
だけではなく、学校内外の学びについて一歩踏み出す、 そんな勇気をもってほしいと思います。
失敗も長く見れば成功の証。一歩踏み出すことによって、 今まで見えなかったものが見えてくるかもしれません。それが将来
に直接結び付くかどうかはわかりませんが、 少なくとも成長する一つの要素にはなるではないかと思うのです。
*1 予備校のノリで学ぶ「大学の数学・物理」:「無限ホテルのパラドックス」(2022/03/02)
*2 主催は札幌市。なお、ポスターは主催者である札幌市から提供を受けました。
平成7年(2025年)10月28日
校 長 宮 田 佳 幸


