10月23日金曜日に梯剛之さんのピアノコンサートが本校音楽室で行われました。梯剛之さんは、生後1ヵ月で失明しましたが、ピアノを玩具がわりに親しみ、4歳半からレッスンを始めたそうです。その後、13歳でウィーン国立音楽大学準備科に入学し、ヨーロッパを拠点に各種コンクールで活躍するなど、その豊かな音楽性が高く評価され、これまでに、日本、韓国、タイ、米国、オーストリアやドイツをはじめとしたヨーロッパ各地、アルゼンチンやブラジルなど南米各地で演奏会を行ってきたそうです。まさに、世界的なピアニストが本校を訪れ、「ほんもの」の演奏を披露してくれました。
今回のコンサートは、キタラでのコンサートのために来札した機会に、是非、札幌の子どもたちにほんもののクラシックを伝えたいという梯さんの熱い思いで実現しました。そのため、完全なボランティアで本校を訪れてくれました。できるだけ多くの生徒の皆さんに、演奏を聴いてほしいという思いがありましたが、会場のスペースの関係から、今回はやむなく、4年生の音楽選択者と美術選択者を対象としたミニコンサートとなりました。
 梯さんの演奏は、ピアノの音というよりも、梯さんとピアノが一体化して梯さんご自身の音色のように思え、すっかり、その世界に引き込まれてしまいました。モーツァルトやシューベルト、ショパンなどのピアノ曲を5曲ご披露いただき、その後、梯さんからの軽妙なトークと質問コーナーへと続きました。休憩をはさみ後半は、代表生徒のピアノ演奏に対する梯さんによるワンポイントレッスンが行われました。曲目は、ショパンのノクターン第9番。梯さんのアドバイスで、演奏により一層、思いが吹き込まれた感じがしました。最後に、全員で「Beautiful Days」を合唱し、梯さんに聴いていただきました。梯さんからは、合唱を聴いて、さらにもう一曲ピアノを弾きたくなりましたと、プログラムにはなかった一曲を披露してくれました。このときは、会場全体が完全に一体となり、梯さんのピアノの世界を全員で共有する素敵なひと時となりました。
 芸術の秋に、「ほんもの」に触れる機会をプレゼントしてくれた梯さんに心から感謝した一日でした。