人間万事塞翁が馬・・・令和4年度修了式講話【校長室の窓】
皆さん、こんにちは。今年度の修了式の日なりました。1年間、お疲れ様でした。
3年余りも続いた新型コロナウイルス感染症も終息の兆しがあり、今年度1年間は様々な活動について制限が緩和されてきました。これからコロナ前に状況に戻ることが期待されますが、今回は修了式にあたり「人間万事塞翁が馬」という話をしたいと思います。
このことわざは、小学館発行の故事俗信ことわざ大辞典によると、中国の思想書「淮南子」の中に、「中国の北の国境に住む老人は占いをよくした。彼の飼っていた馬が胡の国へ逃げてしまい、皆が慰めたが、老人はそれは幸運の訪れと予言し、そのとおり、あとにその馬は胡の国から立派な馬を連れて帰ってきた。皆が祝福すると、老人はこれを不運の兆しだという。実際に、その後、老人の子がその馬から落ちて足の骨を折ってしまう。そこで、皆が慰めると、今度は、これは幸運のしるしだという。息子はその怪我のために、後の戦争に行かずにすむのである」と記載があり、「一見悪いことが良いことにつながり、逆に良さそうなことが悪いことにつながっていく」という意味で「人生における幸不幸は予測しがたい」ということに使われています。
私たちは失敗したり、うまくいかなかったりすると落ち込みますが、そのことが逆に次のステップへの成長につながったり、うまくいったりすることがあります。うまくいかないことでも、気持ちをしっかりともち努力をしていれば道は開けることを示しています。
逆に、私たちはうまくいっていることを誇らしげにしたりしますが、そのことを謙虚に捉える必要があります。自慢したり吹聴したりすることが逆に失敗の原因になることがあります。うまくいくことは続かないとも言えます。
私たちはそのことを知っていることで、うまくいかなくても次はうまくいくと頑張れますし、うまくいっているときでもうまくいかなくなるかもしてないと謙虚になることができます。人の成長というのは、右肩上がりの矢印のように一直線ではなく、曲線のように浮き沈みを繰り返しながら、結果的に右肩上がりになっていると考えます。
現在のパナソニックという会社、以前は松下電器と言っておりました。創業は1918年大正7年です。高度経済成長期を経て、世界に名をはせた大企業になった会社です。その創業者である松下幸之助さんは21世紀を担う指導者の育成にも力を入れた人です。その松下さんは次のような言葉を残されています。
「浮き沈みは世の常」
人生には大なり小なり
浮き沈みが必ずある。
そしてその上り下りを繰り返すうちに、
人は磨かれ成長していく。
だから、上にいるからと驕ることもないし、
下にいるからと悲観する必要もない。
要はいつも素直に朗らかに
希望をもって生きていることである。
今年度の学びが終わりました。浮き沈みがあった生徒の皆さんもいたと思いますが、それは成長の証。それをしっかりと受け止めて、新学期、新たな気持ちで4月を迎えてほしいと思います。
コロナ明けの学校生活がいよいよ始まります。
令和5年(2023年)3月24日
校長 宮田 佳幸