新入生の保護者の皆様、こんにちは。本日はお忙しいところ、新入生保護者説明会にお越しいただき感謝申し上げます。本日は、本校の教育について少しお話しさせていただきます。

 札幌市教育委員会が2011年3月に策定しました「札幌市中高一貫教育校設置基本構想」には、その育てたい生徒像として、「6年間の連続した学びを生かし、札幌で学んだというアイデンティティを持ちながら、将来の札幌や日本を支え国際社会で活躍する、知・徳・体のバランスの取れた「自立した札幌人」を育てると記されています。ここにある「自立した札幌人」とは、来年度から始まる第2期札幌市教育振興基本計画の中では、

・未来に向かって 新たな価値を創造し 主体的に学び続ける人

・自他のよさや可能性を認め合い しなやかに自分らしさを発揮する人

・ふるさと札幌に誇りをもち 持続可能な社会の発展に向けて 行動する人

と記されており、前計画同様に、本校も「自立した札幌人」の育成に向けて教育活動を進めることとしています。

この育てたい生徒像を踏まえ、「わたし、アナタ、min-na そのすがたがうれしい」から始まる学校教育目標を定め、「生涯にわたって学び続ける力」を身に付けるため、6年間の全ての教科等で「課題探究的な学習」に取り組んでいます。「課題探究的な学習」とは、「自ら疑問や課題をもち、主体的に解決する学習」を指し、「国際バカロレアIB」の教育プログラムを活用して、この「課題探究的な学習」を進めています。

また、文部科学省から指定されている「スーパーサイエンスハイスクーSSH」も今年度は第3期2年目—通算12年目の取組となり、今期は中学校段階からの取組を行っております。SSHの関わる取組については、道内の他のSSH校との交流をはじめ、全国のSSH報告会でのポスターセッション、海外の学校との交流などがあり、各生徒には積極的な行動が求められています。

さらに、本校独自の教育プログラムであるSELFでは、本物の体験や未来社会に対応できる学び方をとおして、主体性を育成していきます。これを「物ごとの自分ごと化」として、様々な取組を行っています。

IB,SSH、SELFの3つを主軸として、本校では教育活動を推進しています。今後、様々な場面で、これらについて触れることがありますが、少しずつ理解を進めていただき、御協力いただければと思います。

最後に、保護者の皆様へのお願いです。現在、様々なところで「社会が急速に変化しており」という言葉を耳にします。技術革新の急進もさることながら、予想をはるかに超えるスピードで社会は変わってきています。また、報道でもお分かりのように、世界の人々の価値観は多様化を極め、そのような異なる価値観の人々とどのように折り合いをつけて交流していけばよいのか、難しい社会になってきています。

このような社会背景を踏まえながら、これからお子様が経験する6年間の学びは、ほとんどの保護者の皆様ご自身が中学校や高校で経験していない学びです。もしかすると、本校に入学したら「難関大学に現役で合格」できると考えていらっしゃる方もおられるかもしれませんが、本校が目指しているのはそこではありません。本来、大学とは主体的に学問を究めるところです。従来の中学校や高校のような手取り足取りこうしなさいああしなさいと言われることはありません。学びを進めるのは自分自身です。本校の生徒は、自分の志を叶えるために、入れる大学ではなく、ここで勉強したいという行きたい大学を選びます。

従来のように正解が一つに決まるような問いは、社会ではほとんどありません。学びを進めているとき、私たち教員は必ずしも答えをもっているわけではありません。私たち教員は、生徒と並んで歩くファシリテーターの役割と自認しています。正解へと導くのではなく、一緒に考える、そんな役割です。

授業では話合いをする場面が多くあります。定期テストがありませんので、評価のために、たくさんのレポートを書かなければなりません。1年生も例外ではありません。しかし、それをきちんとこなしていけば、生徒たちは大きな武器を手に入れます。将来にわたるスキルの獲得です。特に発展期の生徒、56年生を見ていると、身に付けたものは強靭です。

しかし、12歳から18歳という成長期の年齢は、本当にこれでいいのかと、常に自分の心と闘っている時期でもあります。ぜひ、保護者の皆様におかれましても、お子様と並んで背中を押してあげる存在になってあげてください。保護者の役割は、小学生までは前から引っ張ることが大切でしたが、これからは子どもが自ら歩んでいけるように支えることが重要だと感じています。

このあと、本校の教育活動の様子や学校生活などについて、担当からお話しさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 

令和6年(2024年)2月26日

校 長  宮 田 佳 幸