課題解決から価値創造へ
課題解決から価値創造へ
昨年度、札幌市教育実践功績表彰を受賞した本校の教員が、研修の機会を得て、今年度、この徳島県神山町に今年4月に新たに開校した「神山まるごと高専」を視察し、その報告を聞きました。
「神山まるごと高専」は私立の高等専門学校で、高専としては20年ぶりに新設されたとのことです。1期生は44人で、北海道からの入学生もいるそうです。ここで教える教員も全国から集まり、中には、公立のIB校からやってきた教員もいるとのことです(本校からではありませんが・・・)。神山まるごと高専はテクノロジーとデザインを学ぶ単一学科の高専ですが、この根底には起業家精神を学ぶこととしています。その学びは単に知識の獲得ではなく、身に付けたことを駆使してどのように外に向けて発信していくかということに主眼が置かれています。
先日、市立高等学校・特別支援学校の校長会でも、東川町の職員の方が見えられ、地域おこし協力隊の募集のお話を聞きました。3年間の任期の中で、最初の2年間は専門学校で介護の資格を取り、最後の1年間はその資格で地域の高齢者の介護を行うというものです。地域の課題をどう解決していくか、大人も頭を悩ましています。
札幌市において、「課題探究的な学習」すなわち「自ら課題や疑問をもち、主体的に解決する学習」を、本校はもちろん全ての市立学校で取り組むこととしています。本校においても、生徒たちは、例えば、身近な課題について問いを立て、どのような方法でどう解決していくかを考えていくわけですが、これからの時代は、単に地域の課題を解決するだけではなく、地域をどう守り、そこにある資源についてどのように価値を見出し、地域を創造していくか、ということを考えていくことが必要になってきています。
ここ札幌についても、2034年までの冬季オリンピックの誘致が困難になり、さらには札幌まで延伸予定の北海道新幹線の開業も工期が大幅に遅れる見通しとなりました。札幌の街の中では、大きなビルの建設ラッシュを迎えています。駅前通りを歩けば、すでに新しいビルが完成し、その横では、建設しているビルもあります。これらの誘致や完成を前提として様々な計画が策定されておりましたが、この先、札幌はどうなっていくのかと考えてしまいます。
一方、地方では、学校の存在が街の経済や活性化の重要な要素となっているものの、少子高齢化の波が一層押し寄せ、学校の存在も危ぶまれてきています。そのような中ですが、地方の魅力に価値を創造し、地域とともに、素晴らしい成果を挙げつつあるところも少なからず増えてきています。
世界は広く、多様で、自分が持っているものとは違う文化や価値観があります。それらを受け止めつつ、どのように折り合いをつけて共に仕事をしていくかということが重要ではありますが、足元を見れば、日本にも解決しなければならないことが山ほどもあり、それぞれのところで、どのように価値を創造していくのかが、今、求められているのではないでしょうか。
令和5年(2023年)11月30日
校 長 宮 田 佳 幸