心の持ち方…令和5年度前期終業式校長講話
心の持ち方
皆さん、こんにちは。
前期、お疲れ様でした。今年度も半分が終わりました。コロナが5類に移行してしばらく経ちましたが、現在は季節外れのインフルエンザが流行の兆しがあり、他の学校ではインフルエンザによる学級閉鎖も起きています。コロナとインフルエンザのダブル感染に注意が必要となっています。
さて、前期終業式の話として、今回は「心の持ち方」という話をしたいと思います。
「マーフィーの法則」というものを知っていますか。これは、科学的な法則ではありませんが、誰もが頷ける経験則をユーモラスにまとめたジョーク集のことです。例えば、このような感じのものがあります。
・並んでいたレジの列を隣の列が早いと移ったら、元いた列の方が早く動き出す。
・バスはいつも予定時刻に来ないが、自分が予定時刻に遅れた時に限って定刻に来る。
・買って間もないiPhoneは高確率で地面に落とす。
・苦労して間に合わせた宿題ほど、提出期限が延期される。
・会議は定刻の5分後から始まり、定刻をはるか過ぎて終わる。
など、なるほどというものがあるのではないでしょうか。
日々生活していると、その考えや行動に対して思い通りにならないことが多いです。自分の力が及ばないことに対してはどうしようもないのですが、自分の力が及ぶことに対しても、思い通りにならないことがたくさんあります。マーフィーの法則のように、むしろ、思い通りにならないことの方が多いと感じます。
先日、こんな話を聞きました※。
80歳の高齢の方が免許を返納することになりました。息子さんから免許の返納をお願いされましたが、住んでいるところが田舎のため、公共の交通機関が充実しておらず、1人暮らしの身としては現実的に厳しいお願いでしたが、話合いの結果、返納することを決意したそうです。
当初は、車の無い生活に不便さを感じもどかしい日が続きました。最寄りのバス停も、自宅から歩いて20分ほどで、少し堪える距離です。しかし、この徒歩とバス生活こそ、この方の心に変化を生みます。車ですと、人と接する機会はあまりありません。しかし、バス停までの道のりでは大勢の方と触れ合う機会が増えたそうです。「最初は挨拶を交わす程度でしたが、今ではバスの時間も忘れて立ち話をするほどに仲良くなった人までいるんです」と楽しそうに話します。そして、ある大雨の日に、傘を差しながらふらつく姿を心配した女子高生二人が、「大丈夫ですか?」と声を掛けてくれバス停まで手を取って同行してくれたそうです。
「今まで私は便利だの不便だの、自分の都合だけで生きてきた。それが実は、自分の世界をかえって狭めていました。免許を手放した時は、不平不満ばかりを募らせていたけれど、今では、前以上に人の温もりを感じる機会が増えていることに気付きました。今でも、あの女子高生の優しさと温もりが忘れられないし、久しぶりにあの時、生きている実感を覚えました」。この方にとって、最初は免許返納はしたくなかったことかもしれませんが、人の温もりを感じていく中で思い違いだったと気付き、いつの間に免許返納はよかったと思えるようなったそうです。
日々生活をしていく中では、受け入れがたいことも多いですが、その不幸や不満を幸せや安心に変えていけるのも、また、他でもない自分自身だということを忘れてはいけません。受け入れがたいことを、時間をかけながら、良い方向に変えていく心の持ち方が大事なことだと、私も、日々感じています。「心の持ち方」というお話でした。生徒の皆さんはどう思いますか?
土日を挟んで、月曜日から後期が始まります。いつのまにか季節は真夏から秋になり、だんだんと寒さが厳しくなっていきます。風邪をひきやすい季節。防寒対策を含め、コロナやインフルエンザについてしっかりと感染防止対策をしてほしいと思います。
そうそう、一つ言い忘れました。マーフィーの法則に一つ追加です。9月20日の給食がミートとズッキーニのスパゲッティで、この日は藻岩高校の50周年記念式典に参加する日でした。
・新しいワイシャツを着てきたときに限って、スパゲッティが跳ねる。
※ 臨済宗大本山妙心寺 法話の窓より。
令和5年(2023年)9月29日
校 長 宮 田 佳 幸