皆さん、おはようございます。校長の宮田です。今年度の修了式の日となりました。1年間、お疲れ様でした。今年度も、コロナ禍の中、様々な学校行事が中止、延期、そして規模の縮小などとなり、必要最小限のことしかできなかった印象です。その中でも、生徒の皆さんはできる範囲の中で積極的に学びを進めたのではないかと思っています。また、この冬は大雪にも見舞われ、「夏が暑いとき、次の冬は大雪が降る」とはよく言ったもので、まさにその通りになりました。

異常気象と言われる事例が少なからず発生しています。休校とした2月21日22日の大雪については、低気圧による風の向きが、石狩湾から直接札幌に流れ込み、この時は千歳でも大雪となりましたが、札幌から千歳に向けてのいわゆる線状降水帯の模様を呈しておりました。皆さんも記憶にあると思いますが、今から7年半前の2014年9月に石狩・空知・胆振に北海道で初めての大雨特別警報が発令されました。支笏湖付近では総雨量が400ミリ近い豪雨となったものですが、札幌でも6つの区に避難勧告が出されました。実に90万人余りに避難勧告が出されました。夜中じゅう、テレビでは大雨の状況を伝えており、当時、教育委員会に勤めていた関係で、各学校の教頭先生から連絡は入り始め、自宅にいてはらちが明かない状況になり、夜中に出勤したところ、すでに何人かの職員が電話対応に追われていました。私も加わり、無我夢中で対応したのを覚えています。

数十年に一度という状況が毎年のように各地で起きており、私たちが住んでいる札幌でもそのようなことが短い間隔で起きています。決して対岸の火事ではありません。防災に意識を高めるとともに、危機管理について認識を強くし、対応していかなければならないと改めて感じたところです。

さて、年度の変わり目ですので、区切りの話をしたいと思います。今回は放送によるお話なので、皆さんは頭の中で思い浮かべてください。漢字で、季節の節に、目・鼻・口の目と書きます。漢字2文字です。この漢字の読み方は2つあります。

将棋の藤井聡太5冠がデビュー50勝目を挙げたとき、「1局1局指してきたのが○○の数字となりました」と振り返りました。この○○のところに先ほどの漢字が入ります。このとき、50勝目の区切りのことを「ふしめ」とは言わず、「せつもく」という言葉で表現しました。岩波書店の広辞苑第6版によると、「ふしめ」は物事の区切り目、「せつもく」は小分けにした一つ一つの箇条、細目」と記載がありました。感覚的では、「せつもく」の方がより細かい区切りのように思います。当時15歳であった藤井5冠が言った「せつもく」という言葉は、「50勝目は、大きな区切りではなく、まだまだ続く途中経過にすぎません」という意味で謙虚に答えたのではないかと思っています。

節の話の続きとして、竹の話をします。近畿大学の井上昭夫教授率いる里山生態学研究室によると、竹の節の数はタケノコのときに決まっているとのことです。竹は成長に伴い、節の間隔を伸ばしていきますが、その節の間隔は一定ではありません。根元が狭く、上に行くにつれて広くなり、先のほうでは根本と同じように狭くなっています。間隔が狭いのは丈夫にするためで、根元は自重に耐えられるように、先は枝葉を支えられるように狭くします。間の間隔が広いのは、丈夫になりすぎて強風などで横から大きな力が加わると折れてしまうのを、間隔を広げることでしなやかさを出し、強い風が吹いても力を逃がせるようにしているそうです。

春休みを経て、皆さんは学年が一つ上がります。3月で一つの区切りがつきますが、まだまだ「せつもく」、小分けの細目の段階です。それぞれの学年で求められることも深くなっていきます。また、学びだけではなく、心の成長も期待したいところです。強さやしなやかさを身に付け、竹のように上に向かって成長することを願っています。新年度・新しい学年に向けて、準備をしっかりとし、気持ちを新たにして4月を迎えてほしいと思います。

令和4年(2022年)3月24日
校 長  宮 田 佳 幸