みんなちがって、みんないい
9月も半ばを過ぎ、だんだんと気温が下がってきました。大雪山の旭岳や黒岳などから紅葉の便りが聞かれるようになり、これから紅葉前線がだんだんと南下していきます。今年の札幌の夏は暑かったですが、体調など崩されていませんでしたでしょうか。この夏、札幌は18日連続で真夏日を記録するなど、過去に記録した17日連続真夏日を94年ぶりに更新したそうです。オリンピックの男子マラソンの日が30℃を越えず、さらなる記録の更新には至らなかったとのことですが、それでも出場106人中、30名がリタイアするなど、過酷なレースとなったことは御存じのとおりです。
さて、そのような暑い札幌になる前の話ですが、5月31日付けの校長室の窓に、「課題探究的な学習」について書かせていただきました。札幌市における計画にもこの課題探究的な学習の推進が盛り込まれています。課題探究的な学習とは、自ら課題を発見し、その解決のために主体的・協働的に学ぶ学習のことであり、教員などの他から問題を提示される問題解決的な学習とは異を唱えます。
この課題探究的な学習は本校における学びの根幹をなすものとして、授業はもちろん、様々な活動の中でその手法を取り入れた教育活動を進めていますが、本校開校に向けての準備段階の資料を紐解くと、この課題探究的な学習を推進するため、国際バカロレア(IB)のプログラムを活用して教育活動を進めることにしたことが分かりました。このIBの教育プログラムに基づく本校の課題探究的な学習は、生徒たちがグループワークやプレゼン発表をはじめとする様々な協働学習を通して、IBの求める「探究-行動-振り返り」の学習サイクルを繰り返しながら行われています。
IBは「多様な文化の理解と尊重の精神を通じて、より良い、より平和な世界を築くことに貢献する、探究心、知識、思いやりに富んだ若者の育成を目的とする」ということを使命としており、IBのプログラムをとおして、世界各地で学ぶ児童生徒に、人がもつ違いを違いとして理解し、自分と異なる考えの人々にもそれぞれの正しさがあり得ると認めることのできる人として、積極的に、そして共感する心をもって生涯にわたって学び続けるよう働きかけています。
これは本校の学校教育目標「わたし、アナタ、min-na そのすがたがうれしい」に通じるものであり、本校における教育活動が、これまで慣れ親しんできた考え方と違うものと出会ったとときの驚きや戸惑いに正面から向き合い(わたし、アナタ、min-na)、調整や折り合いをつけていきながら、自分とは違う存在の意味を理解し受け入れていく方向(そのすがたがうれしい)を目指していることを示しています。
明治から昭和初期の童話詩人であった金子みすゞさんの「私と小鳥と鈴と」はまさに本校の学校教育目標の根幹に通じるものがあります。
私が両手をひろげても、
お空はちっとも飛べないが、
飛べる小鳥は私のように、
地面を速く走れない。
私がからだをゆすっても、
きれいな音は出ないけど、
あの鳴る鈴は私のように、
たくさんな唄は知らないよ。
鈴と、小鳥と、それから私、
みんなちがって、みんないい。
そう、みんなちがって、みんないい。是非、生徒には、世の中にはいろいろな考え方があること、お互いの違いを認めること、異文化を理解することなど、わたしと違うアナタ、min-naを認め、そのような考え方を身に付けてほしいと思っています。
令和3年(2021年)9月17日
校 長 宮 田 佳 幸