立冬も過ぎ、暦の上では冬の季節になってまいりました。朝晩の寒さも厳しくなり、ストーブに火を入れた家庭も多くなっているのではないでしょうか。しかし、灯油が高いですね。世界の経済の動きはじめとともに化石燃料の価格が高騰し、国内では灯油の価格も1リットル100円を超えるようになってきました。

COP26がイギリス・グラスゴーで開催され、脱炭素社会に向けた話合いが行われましたが、危機意識は十分にあるものの各国それぞれの考え方もあり、一筋縄ではいかない状況のようです。スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさんは「COPは美しいスピーチを述べるPRイベントになってしまっている。各国のリーダーたちはカーテンの後ろで抜本的な行動を拒絶している」と述べ、現状の取組では不十分だと訴えていました*1。先日放送されたテレビ番組では、地球の平均気温は産業革命からすでに1.1℃上昇しており、影響が大きくなる1.5℃に迫る中、今のままだと十数年後には温暖化が“より危険な領域”に突入すると警鐘を鳴らしておりました*2

地球温暖化の問題に限らず、社会には多くの課題があり、国や企業などはそれを解決するべく、様々なアプローチをしながら課題解決に当たろうとしています。社会の課題については、身近なものから地球規模のものまで大なり小なりあり、中学生や高校生にとってもその課題に主体的に取り組んでいくことが大切になっています。 

もう一ヶ月ほど経ちましたが、10月8日(金)、本校において「探究マルシェ」という研究成果の発表会を行いました。この日は、本校は主幹校として、全国の中高一貫教育を行っている学校を対象とした「全国中高一貫教育校研究大会」を行い、コロナ禍のため札幌で集まっての開催はできませんでしたが、全国の中高一貫校をオンラインで結び開催しました。このプログラムの中に探究マルシェを盛り込み、全国のSSH指定校にも参加していただき、本校生徒の取組を全国に発信したところです。

この探究マルシェは、探究した成果と課題を異学年間で共有することにより、それまでの取組を多面的に振り返り、次の探究につなげたり、ATL*3の向上を目指すことをねらいとして実施し、本校の生徒も、感染防止対策を施し、オンラインにより他の生徒の発表を共有しました。各研究は、学年に応じて、個人で行ったりグループで行ったりと、3月に行われる研究成果報告会に向け、中間発表的な位置付けで行ったところです。

学年  名称  内容
 1年

 試行錯誤

 興味関心に基づいた探究活動の中間発表
 2年
 3年  コズモリサーチ  データ処理を取り入れた基礎的な課題研究の発表
 4年  パーソナルプロジェクト  MYPの最終学年で取り組む個人研究
 5年  コズモサイエンス  科学的なアプローチに基づいたSSH課題研究の中間発表
 6年  コズモエッセイ  コズモサイエンスで取り組んだ課題研究を英語で発表

 

発表の内容については割愛しますが、生徒の振り返りの感想の中には「1・2年生の試行錯誤の発表は、自分たちでは考えなかった視点から探究が行われていた」といった驚きの感想や「実際にやってみるとうまくいかないことが多く、何度も同じ実験を繰り返してしまったり、やっとデータをとれたと思ったら思っていたものと違う結果が出たりと大変だったが、グループの人たちと協力してここまで取り組めたので今後も頑張りたい」との振り返りがありました。

本校は、主となる学習に課題探究的な学習を位置付けております。この課題探究的な学習は、課題の発見と解決のため主体的・協働的に学ぶ学習を指し、日常生活や社会に目を向けて生徒が自ら課題を設定することから始まります。また、本校は、札幌市教育振興基本計画*4に盛り込まれている課題探究的な学習に係るモデル研究の推進事業に指定され、その成果を全ての学校に普及・啓発することが求められており、今回の探究マルシェと同様、様々な機会を捉えて本校の取組について発信していきたいと思います。

 令和3年(2021年)11月15日
校 長  宮 田 佳 幸

*1 NHKWEBサイトより。
*2 NHKスペシャル「グレート・リセット~脱炭素社会 最前線を追う~」(11月8日(日)放送)より。
*3 ATLはApprpaches to Learningの略で、ATLスキルは「学習の方法」のために設定されたスキルで,MYPでは5つのカテゴリーと10の項目が示されている。
*4 札幌市教委が2014年に制定したもので、幼児期から生涯を通じた教育施策を総合的に示す計画。今後10年間を見据えた「札幌市教育ビジョン」と、前期5年間・後期5年間に取り組む「札幌市教育アクションプラン」からなる。