皆さん、こんにちは。
今日、明日から始まる夏休みを前に、皆さんと「準備」という言葉について、少し深く考えてみたいと思います。
「準備」と聞いて、皆さんはどんな意味を思い浮かべるでしょうか。 
辞書を引くと、こう書かれています。 
「ある事をするにあたって、あらかじめ必要なものを調えたり、態勢を整えたりして、手はずをすること。」
つまり、本当の「準備」とは、単に道具をそろえることだけではありません。
「心構えを整えること」「状況を想定すること」「手順を決めること」。 
そうした、目に見えない部分まで含めて、初めて本当の「準備」と呼べるのだと私は思います。

サッカー元日本代表の本田圭佑さんも、準備について強い言葉を残しています。
「勝負を決めるのは準備。なかでも、気持ちの準備以上のものはない」
どんな逆境でも折れないタフなメンタルは、事前の「気持ちの準備」によって作られる。
つまり、「勝負は本番が始まる前に決まっている」という覚悟です。
さらに、本田さんはこうも言っています。
「僕にとって、今日という日は常に明日のための準備だ。だから、うまくいかない時こそ、いい準備をするんだ」
今日の努力は、未来の自分を成功させるための投資です。
だからこそ、しんどい日でも踏ん張れる。
失敗して落ち込むのではなく、次の勝利に向けて手はずを整え直す。
その圧倒的な準備の積み重ねが、彼を世界で戦える選手にしたのです。

先月、本校は弓道全道大会の当番校を務めました。
大会運営という大役を果たす裏で、女子団体のメンバーが予選を勝ち抜き、決勝トーナメントへ進出しました。
1回戦の相手は、強豪・札幌白石高校です。 
互いに一歩も譲らない大激戦となり、12中で並んで「競射(きょうしゃ)」へ。
1回目でも決着がつかず、もつれ込んだ2回目の競射。
結果はわずか1本差。惜しくも、本当に惜しくも敗れました。
しかし、彼女たちがこの全道大会に向けて、どれほど真摯に、どれほど丁寧に「準備」を積み重ねてきたか。
それは、そばで見守っていた私には痛いほど伝わってきました。
ちなみに、本校を破った札幌白石高校は、その後、準決勝で17中、決勝で16中と他を圧倒し、全国大会へ駒を進めました。
最高の準備をしてきた仲間と、高いレベルで競り合ったあの経験は、間違いなく本校の弓道部の財産です。

大会の後、男子団体で見事四連覇を達成した札幌新川高校顧問の先生と、少しお話しする機会がありました。その際、こうおっしゃっていたのが非常に印象的でした。
「どれだけ普段の練習で当てているかが、すべてだ」
本番で「奇跡」を願うのではない。
日頃の準備の基準をどこまで高められるか。そこが勝負を分けるのだと思います。

さて、明日からいよいよ夏休みが始まります。 
高校生の夏休みは、自由な時間が増える分、サボろうと思えばいくらでもサボれてしまいます。
しんどい時に、もう一踏ん張りして机に向かえるか。 グラウンドや体育館で、あと一歩多く動けるか。
その差を生むのは、「今日の努力が、未来の自分の成功につながっている」という、まさに皆さんの「気持ちの準備」です。
この夏、新チームを引っ張る部活動の中心となる人。 進路や受験に向けて、いよいよ勝負の夏を迎える3年生。 皆さん一人ひとりにとって、人生の選択肢を広げる大切な約1か月間になります。
しかし、あらかじめ言っておきます。 
計画の半分は、思い通りにいかないと思ってください。 
模試の結果が思うように伸びない。練習試合で大敗する。体調を崩してしまう。……そんな壁は、必ず皆さんの前に現れます。
準備の浅い人は、そこで心が折れて諦めます。 
しかし、本当の準備ができている人は違います。
「思い通りにいかないことなんて想定内だ。じゃあ、ここからどう巻き返そうか」 そうやって、逆境さえも楽しむことができるのです。
そして、そのすべての準備の土台となるのが、本校の今年度のテーマである「凡事徹底」です。
誰もができる当たり前のことを、誰も真似できないほど徹底する。
・元気よく挨拶をする。
・周りへの感謝を忘れない。
・毎日、決めた時間に机に向かう。
・道具を丁寧に扱う。
・規則正しい生活で、体調管理を怠らない。
こうした、一見地味に思える小さな積み重ねこそが、本番であなたを絶対に裏切らない、最も強い「準備」になります。

この「凡事徹底」のなかに、私はもう一つ、とても大切なことを加えたいと思います。それは、「自分のことも仲間のことも大切にする」ということです。
私は、この学校を「生徒一人ひとりが、自分は大切にされているんだと実感できる学校」にしたいと本気で思っています。
これは我々教員の「準備」でもあります。
誰もが安心して、自分の未来のための「準備」に集中できる場所にしたいと考えています。
そのためには、全員が守るべき絶対のルールがあります。
それは、いじめは「しない・させない・許さない」。
これを徹底していきます。
いじめには、「からかい半分だった」「悪気はなかった」という言い訳は一切通用しません。
加害側の意図は関係ありません。
被害を受けた側が「いやな思い」をしたら、それはすべて「いじめ」です。
もし今、あるいはこの夏休み中に、悩みや困りごとを抱えることがあれば、どうか一人で抱え込まずに、先生や学校に相談してください。
学校は、皆さんの悩みや困りごとに、一緒になって全力で解決策を考えます。
絶対にあなたを一人にはしません。
そして、私たちは人間ですから、時には間違いや失敗をすることもあります。
悪気はなくても、誰かを傷つけてしまうことがあるかもしれません。 
そんな時、「自分が間違っていた」と素直に認め、誠実に謝れる大人になってください。
それもまた、これからの長い人生を生きるための、とても大切な心の「準備」です。

最後になりますが、皆さんには、この夏休みを通して、勉強や部活動のスキルを磨くだけでなく、「タフな心構え」と「凡事徹底の力」、そして「自分と仲間を思いやる優しさ」を身につけてほしいと願っています。
休み明け、ひと回りもふた回りもタフに、そして優しく成長した皆さんと、元気な姿で再会できることを楽しみにしています。

どうか、最高の「準備」をしてください。
 

市立札幌清田高等学校長 信田 篤