1.概要
 第1回定期考査の結果から、古典の学習の取り組み状況に課題があることが見て取れました。そこで、「古典再チャレンジテスト」と題して、答案用紙の返却と模範解答の配布は行わずに、考査翌週の2回目の授業で同じ問題を出題し、得点の高い方を成績として採用することを生徒に伝えました。
 
2.準備時間
 考査翌週の1回目の授業は、再チャレンジテストに向けて、協働して学び直す時間を取りました。ここでは、今回の取り組みの意図を生徒とともに考え、「生徒にとって多くのメリットがある取り組みである」「デメリット(生徒が損すること)は一切ない」「懸念事項はあるが、それは再チャレンジテストを実施しても実施しなくても解消されるものではないため、デメリットとはなりえない」ことを併せて確認しました。

◆懸念事項①「選択肢の数字を覚えるだけになるのでは?」
→丸暗記するにしても問題数が多いため、必ず古典に触れながら暗記することになる。そう考えれば、実施しないよりも実施した方が学びに繋がる。
◆懸念事項②「定期考査本番で点数を取れた人が損をするのでは?」
→周りの点数が上がっても、他の人には関係がない。本番で点数を取れた人は、再チャレンジテストでさらに点数が伸びれば高得点の方が成績に採用されるので損することはない。仮に点数が下がったとしても、本番の点数が成績に採用されるので実施することの弊害はない。
 
3.生徒の感想
 再チャレンジテストの翌週の授業で振り返りを行いました。回答者数104名のうち、再チャレンジテストに対する肯定的な意見は98名、中立的な意見は2名、否定的な意見は4名でした。
 
a.肯定的な意見
 字数の都合で全てを取り上げることができないため、ChatGPTで要約した内容を以下に示します。
 
◆ChatGPTの回答
 生徒の感想を要約すると、再チャレンジテストを通して以下のような共通の気づきや感想があります。
再チャレンジテストを通じて、助動詞や文法などの基礎的な知識の定着や理解が深まった。
テストを再度受けることで、自分の弱点や間違いを明確に把握し、それを克服するための取り組みを見つけた。
テスト勉強の過程で、友達と協力することや、問題を解くために自ら調べることが有益であることを発見した。
再チャレンジテストを通じて、古典の勉強方法や知識の定着の重要性に気づき、今後の学習に活かしたいと思った。
テストの点数が上がったことで自信を持ち、より高い成績を目指す動機付けになった。
テストの前にしっかりと準備することの重要性を再認識し、定期テストに向けての効果的な学習方法を見つけた。
 これらの感想から、生徒たちは再チャレンジテストを通じて学びの機会を得て、自己成長や学習戦略の改善につながる良い経験をしたようです。
 生徒たちのフィードバックから、再チャレンジテストが彼らの学習にどれだけプラスの影響を与えたかが明らかですね。みんなそれぞれの反省点や成長点を述べていて、自己評価や学習意欲が高まっている様子が伝わってきます。再チャレンジテストの効果は、一度目の試験での理解度や対策の不足を補うとともに、間違いを振り返り、理解を深める機会として機能しているようです。彼らの次の試験に向けた取り組みが楽しみですね。
 自分の弱点や不安を見つけ、それに対処するための努力を積極的に行う姿勢は、成長への第一歩です。それぞれが自分のやり方や学習スタイルを見つけ、自信を持って古文に取り組むことができるようになるでしょう。
 点数が上がったことはもちろん、再テストを通じて内容の理解が深まったり、復習の重要性を再確認できたり、周りの仲間と協力しながら学ぶ喜びを感じたり、さまざまな気づきがあったようですね。このような経験を積み重ねながら、今後も古文を克服していくことができるでしょう。
 
b.否定的な意見
 再チャレンジテストに向けた準備時間の冒頭で取り組みの意図を伝えていたものの、「不公平感」と「選択肢を暗記してしまう」という2点で否定的な意見が挙げられていました。

4.まとめ
❶再チャレンジテストは効果的な取り組みであったと言える。
➋今回は考査と全く同じ問題を出題したが、考査と別の問題を出題する再チャレンジテストも効果的である。ただし、作問や採点といった面で教員の負担が大きくなるとともに、国語では難易度・平均点調整が課題となる。
❸取り組みの意図を丁寧に説明することが重要である。
❹自己効力感が低いと学習が後ろ向きになりやすいため、今回の取り組みに限らず、「自分はやればできる」という生徒の自己効力感が学習の鍵を握る。
 
市立札幌藻岩高等学校国語科 對馬光揮