2023年度の1年生を対象に、「これまでの現代の国語の授業を振り返り、あなたの『学び』をまとめ、スピーチをする」という現代の国語の授業を実施しました。
 
◆スピーチ内容
a.あなたは何を学んだのか?
b.あなたは何を強み・得意だと感じているのか?
c.あなたは何に課題を感じているのか?
d.あなたは今後に向けてどうしていきたいのか?
 
◆伸ばしたい力
a.自分の考えを整理する力
b.自分を客観的に捉える力
c.話の構成や展開を工夫して自分の考えを的確に表現する力
d.他者の興味を惹きつけるために効果的に表現する力
 
◆流れ
a.4項目を整理する
b.Googleスライドでスピーチ資料を作成する
c.原稿を作成する
d.34分のスピーチ動画を撮影する
e.チェックリストをもとに自分のスピーチを確認する
f.スピーチ動画をGoogle Classroomで提出する
 
 この授業は、アメリカにあるHigh Tech High(ハイテックハイ)という高校の取り組みをもとに計画しました。
 High Tech Highでは、三者面談の際、生徒が自身の学習状況を教員と保護者にプレゼンします。その内容を採用し、現代の国語の授業における「話すこと・聞くこと」の領域として本単元を実施しました。
 
 教室でのスピーチ発表ではなく、「スピーチ動画を撮影する」という形式にしたのには、自分のスピーチを客観的に捉えてアップデートする狙いがあります。ある生徒は振り返りで「今まで自分の発表を自分で見たことが無かったため、動画を撮影することによって、自分の話し方や表情、姿勢など、気づくところが多く、直したいなと思うところがたくさん見つかった。そのため、何回も自分が納得いくまで、撮影を繰り返すことが出来たので良かった。はっきり話すことと声の大きさ、速度、時間を特に意識して取り組むことが出来た。発表することが得意に感じていない私にとって、とても難しかったけれど、自分なりに頑張ることが出来たと思う。」と述べていました。
 
 もう1つの狙いとしては、動画として保存することによって、同級生だけではなく保護者の方や他の先生方もスピーチを見ることができるようになり、学びが「見える化」されて共有することができる点です(現在、それぞれのご家庭でお子さんの動画を見ることができるように準備を進めています)。ある生徒は振り返りで「今回は、クラスメイトだけでなく、保護者の方々や先生方、他のクラスの人まで見るとのことだったので、なるべく自分が学べたと感じた部分を明確にして話さなければならなかったので、どこまで伝えたら分かりやすいかどうか、と自分の視点だけでなく他者の視点から物事を見ることができました。そこで、改めて他者の視点から同じ物事を見てみるという大切さを学べました。」と述べていました。
 
 また、動画撮影は場所を選ばないので、教室・自宅・コミュニティセンター・カラオケ店など、様々な場所で生徒たちはスピーチ動画を撮影していました。
 
 
 撮影した動画はチェックリストをもとに確認し、自分のできている点とできていない点を各自で整理しながら、何度も撮り直しを重ねてスピーチ動画を完成させていきました。ある生徒は振り返りで「スピーチは小中でやってきましたが、その時はどれだけ原稿を覚えて正しくはっきり言えるかということだけを意識して取り組んできました。今回の学習を通して、先生が言っていたようにスピーチにおいて流暢に話すことだけが重要なのでは無いということを学ぶことができたと思います。」と述べていました。
 
○生徒が作成したスピーチ資料(写真が表示されない場合はページを更新してください)〔円になった矢印をクリックする〕

 
 スピーチ動画を撮影するにあたって1年間の現代の国語の学びを振り返りましたが、ある生徒は振り返りで「1年間の授業を思い返してみて、今までは単元ごとに一つ一つ学びがあると思っていたが、そうではなく次々に生かされていて繋がっていたということに気づきました。」と述べていました。
 
 最後に、各生徒の振り返りをchatGPTでまとめたところ、次の結果が出ました。
 
chatGPT…生徒たちの振り返りから得られる学びや気付きをまとめると以下のようになります。
1. 学習の振り返り:
・自身の成長や学びを振り返ることの重要性を認識。
・学んだ内容を効果的に伝える難しさや大切さに気づく。
 2. プレゼンテーションの重要性:
・話す内容を要約し、具体例を交えることの重要性を理解。
・スライドの配色やレイアウトに注意し、視覚的にわかりやすくする。
3. スピーチスキルの習得:
・速度や声の大きさ、抑揚などの要素の重要性を認識。
・相手に分かりやすく伝えるための工夫や意識が必要。
4. スピーチの構成と表現:
・スピーチの構成や話し方に工夫が見られ、聞き手を引き付ける方法を模索。
・語り口や声の抑揚、相手に問いかけるなど、表現方法の多様性を認識。
5. 自己分析と成長意識:
・自己分析や成長への意識を高め、改善点や強みを見つけて次に活かす姿勢を持つ。
・自分のスキルや成長を明確に示し、これからの学びに繋げる意欲がある。
6. 他者との比較と学びの発見:
・他者のスピーチを鑑賞し、新たな学びや工夫を発見し、自身のスキル向上に役立てる。
・スピーチやプレゼンの成功事例や工夫を参考にして自己成長に繋げる。
 このように、生徒たちは自身の振り返りを通じてスピーチやプレゼンテーションにおける重要なスキルや表現方法について理解し、今後の成長に向けて意欲的に取り組んでいます。
 
 1年間の学びをもとに、2年次ではさらなる飛躍を期待しています。
 授業資料等、詳細は以下のPDFをご覧ください。
 
市立札幌藻岩高等学校 對馬光揮