12月19日 冬季休業前集会が行われました。

放送による集会で矢田校長の講話で今年を締めくくりました。

皆さん、こんにちは。 早いもので、3学年が揃う今年度最後の全校集会となりました。

   さて、FIFAワールドカップが閉幕しました。日本代表の活躍で、幸せな時間を過ごせた人も多かったのではないでしょうか。森安監督の采配や日本代表の戦いぶりに、多くの人が各メディアで様々な持論を述べていたようですが、その中で興味深かったのが、元日本代表の本田圭祐さんと元日本代表監督の岡田武史さんの対談でした。「技術の向上により、今でも十分戦える力がある」「突出した才能がなくても組織としては戦える」と語った本田さんに対し、岡田さんは、「あとは選手が主体的にプレーするかどうか」で、「今大会では、システム上うまくフィットしていない選手が自主的に(ポジションを)修正していた」と述べました。 

  この話を聞いて、かつてラグビーの日本代表ヘッドコーチを務めたエディー・ジョーンズさんの言葉を思い出しました。彼は、日本人には手を挙げたり、意見を言うことを恥ずかしがる傾向があり、同じ質の集団から離れることを嫌がるという弱点があることを指摘しました。そして、「改善のために、受身から能動へスイッチする必要がある」と述べました。そして、さらに 「失敗することに大きな学びがある」とつけ加えました。

  共通しているのは、「行動しない」「言われたことだけをやる」という状態から脱却して「自ら考えて行動できる」ことが大切だということです。そして、組織として力を発揮するには、集団としての秩序だけではなく、個人の主体性が鍵になるということです。

  日本人は空気を読むという曖昧な協調性を重視して、輪を乱す者を排除する傾向があると言われています。自分で考え行動することを躊躇してしまう大きな要因です。 

  このような呪縛をはねのけることのできる人はよいのですが、そうでない人は、自主的に行動する経験を積むことが必要になります。例えば私の経験上、自分の趣味だとか、夢の実現などは、周りからの目をあまり気にせずに没頭できる良い機会ではないかと思っています。 ただし、考えるだけではなく、あくまで行動に移すことが肝心です。

  ところで、夢の実現や課題の解決にあたり「フォアキャスティング」というアプローチと「バックキャスティング」というアプローチがあるのを知っているでしょうか。「フォアキャスティング」というのは、短期的な目標の実現に適した方法で、現在を起点として、現在と過去のデータに基づき、目標達成に向けて取り組む方法です。一方、「バックキャスティング」というのは、夢の実現など中長期的で正解のない課題を解決することに適した方法で、「こうありたい」というビジョンを描き、その未来を起点にして進め方を探る方法です。また、これには既存の方法によらない、思い切った解決策を見つけていく姿勢も求められます。皆さんが行動する上で、何かのヒントになればと思います。

「やらされている」ではなく「自ら考え行動する」。言葉で言うことは簡単ですが、身につけるためにはそれなりの努力や覚悟が必要です。でも、この力が身につくことにより、人生を豊かに送ることや、社会での成功につながると思っています。明日から冬季休業に入りますが、勉強や部活動など、どの場面でも構いません。是非、主体的に考え行動する場面を作ってください。

 

最後に、3年生の皆さん。進路実現に向けて卒業後の進路が決まった人は、今後の計画をゆっくり立ててみてください。そして、これからいよいよ天王山を迎える人は、まずコンディショニングに気を配って、失敗を恐れず最後まで粘り強く取り組んでください。この試練の先には、皆さん自身の「新しい景色」が待っています。