2024年12月22日(日)に、デザインアートコース2年生と北翔大学芸術学部の学生による高大連携ファッションショーを開催いたしました。

ショー全体のテーマを決め、衣装デザインを考えたりグループ分けをしたり、ショーの構成までを全て自分たちで行います。服を作るという経験がほとんどない中ですが、考えたデザインに近付けるためにはどうすれば良いのか、試行錯誤しながらの取り組みとなりました。

それぞれ個性豊かな衣装作品が出来上がり、堂々とショーに臨んでいました。当日の様子を紹介いたしますので、よろしければご覧ください。

ショー全体のポスターデザイン

全体テーマ「理想」

自分のなりたい姿を理想とするのか、理想の世界とはどのような世界なのか、様々な解釈ができるテーマとなりました。

その分、衣装作品もそれぞれ違った個性が発揮されていたように思います。 

 

 

1つ目のグループテーマ

「CHAOS(ケイオス)」

混沌を意味する言葉。無秩序や一貫性が見いだせない状態などを指します。また、ギリシャ神話においては、天地創造以前の混沌を象徴する神の名前でもあります。

キービジュアルが3Dで制作されているのも面白いですね。

 

 

ウミウシをモチーフとした衣装デザイン。青・黄・オレンジを大胆に配色しながらも、フリルの可愛さが表現されています。マントの色がグラデーションになっているのも綺麗ですね。

 

  軍服のような衣装です。背中の模様は白鳥をモチーフとしていて、とても細かく凝ったデザインですね。帽子も同じ布で作っていて統一感があります。
ロボットのような紳士ですね。仮面を作るのに試行錯誤をしていました。また、血が通っていないロボットに、血管が透けている様に見せるため光るラインを貼り付けているのも面白いです。
ハイエナです。正確にはブチハイエナですね。この仮面を作るのはとても労力がかかっていました。粘土で原型を作り、原型に合わせて熱で柔らかくなるプラ板のようなもので面のもとを作り、その形に合わせてファーを切って縫って、ひげを生やして最後に色を塗っています。本当に、よく作りました。
 

衣装だけでなく、般若のようなお面も制作しています。本当は口の部分が開くようなギミックを入れたかったのですが、今回は時間が足りなく断念。牙の生えた般若になりました。和の少し怖いような雰囲気が良く表現されています。

(このグループはお面を作る人が多かったですね)

 

ニワトリとウズラをモチーフとした衣装です。茶色い羽を外すと尻尾に変わり、真っ白な鳥になるという変化のあるデザインでした。羽を一枚一枚作っている手間もすごいですが、出てきた白い鳥がふわふわしていてかわいいです。

 

 2つ目のグループテーマ

「Ἀστερία(アステリア)」

ギリシャ語で星座という意味があります。一人一人の個性をつなぎ合わせて形にするというテーマなのでしょうか。キービジュアルがとても綺麗です。

  左右で色が白黒に分かれている、法被をイメージしたような衣装です。白と黒との調和を理想として表現しています。法被ですがフードがついているのが面白いですね。帯の赤や襟の金色が白と黒に映えています。
  花柄の着物の布をドレスのように仕立てていて、コルセットの赤色も綺麗です。袖やリボンのヒラヒラ感が動くたびに揺れて、花が咲いたようなイメージを表現しています。
  白を基調として、黄色と黒が配色された衣装デザインです。全体の形は現代的ですが、和服のデザインも取り入れており未来の和服をイメージしています。スキー靴を履いてのウォーキングは少し歩きにくそうでした。
  チャイナ服のような、でもふんわりとしたドレスのような、桃源郷をイメージした不思議でかわいい衣装です。制作した本人は、当日体調不良となってしまい、急遽大学生が代理で出演してくれました。本人が出演できず残念でしたが、とても良い作品でした。
  肩にかわいいウサギのぬいぐるみを付けてた衣装です。ウサギのぬいぐるみも手作りでかわいいですね。全体的にピンクと白を使って、ふわふわとかわいい印象が表現できています。
  光沢のある白や青の衣装に、透け感のある白の腰布とファーのジャケットを合わせたデザインです。それぞれの素材が持つ質感の違いが面白い作品ですね。ウォーキングも堂々としていてかっこいいです。
 

3つ目のグループテーマ

「逃飛行(とうひこう)」

避行ではなく飛行とすることで、現実から逃げているものの、理想を目指す前向きな意味が込められています。キービジュアルもテーマのイメージと合っていますね。

ベストを脱ぐとスカートに変わるというデザインです。ベストを着ている状態だとフォーマルな印象ですが、裏側から出てくるスカートや衣装には子どもの落書きのようにたくさんの絵が描かれています。子ども心を隠し持っているということなのでしょうか。
  これもショールを外すとマントのように変わるというデザインです。クラゲをイメージした水色がとても綺麗で、テーマのキービジュアルとも合っていますね。たくさんのリボンがかわいいです。
  デニム生地にピンクのフリルを組み合わせるというデザインがとてもかわいいです。襟元にはたくさんのビーズが入れた布をパッチワークのように縫い合わせており、細かいところまで可愛さが詰まっています。
  これも水色を基調としたデザインですが、ドレスというよりは子どものお人形をイメージした作品です。細かいフリルやリボンがとてもかわいいです。
  赤い薔薇のスカートに黒いコルセットとヘッドドレスがよく似合っています。少し大人っぽい印象ですが、袖やヘッドドレスのフリルが可愛らしさも表現しています。
  たくさんの花が散りばめられた衣装デザインです。花も様々な色があり、こだわって染色した努力が出ていますね。花を散りばめつつ、ショートパンツで性別に捉われない自分らしさを表現しました。
  ローラースケートで登場です。とにかく子どもの夢を詰め込んだデザインでとても可愛いのですが、見ている側としてはローラースケートで転んだり、ステージから落ちたりしないかハラハラしました。無事でよかったです。
 

4つ目のグループテーマ

「moi(モア)」

フランス語で「私」という意味の言葉です。私がそのまま理想となる、という気持ちが込められているのでしょうか。キービジュアルからも自己表現の意欲が感じられます。 

  白と黒、シルバーを使ったデザインがとてもかっこいいですね。色の切り替わるラインが斜めに入っていて、アシンメトリーな動きが面白いです。サングラスも似合っていますね。
  これは左右で白と黒になっているデザインです。正面はレザーでカッコよさを表現し、後ろを向くとふわふわとしたかわいさもあります。靴も白と黒で徹底されています。パンツに入ったスリットも大胆で洗練されたデザインですね。 
  白のレースを使ったドレスに赤いリボンを合わせたドレスです。自分の名前に「結」という漢字が入っていることから、リボンをモチーフとしています。リボンの大きさが色々あり、背中には一番大きなリボンがついていました。 
  こちらも白い透け感のあるスカートに、水色の花があしらわれています。花は、花びら一枚一枚を丁寧に切るところから作っていました。可愛らしい中に、自然の植物が持つ凛とした印象が表現されています。 
  古い着物の布に、黒と白でフリルを付けた美しいドレスです。後ろを向くと着物の絵柄が出てくので、和の雰囲気もあります。足元から少し見える青と赤に色が変わる布のフリルも綺麗で可憐さと上品さが両立していますね。
  赤と黒のコントラストが効果的な衣装デザインですね。すっきりとしたシルエットのジャケットで、頼られる人をイメージしています。色んな所にファスナーを付けられているのも面白く、シンプルでかっこいいデザインです。 
  この衣装、一見するとカジュアルなデザインなのですが暗転すると、光ります。服全体にLEDのテープを付け7色に発光するという衣装デザインで臨機応変に変化できることを表現しています。実はこっそり手にリモコンを隠し持って操作していました。
 

5つ目のグループテーマ

「Dreamer's Atelier」

ドリーマー、つまり理想主義者のアトリエという意味があります。このアトリエで、どんな理想を見せてくれるのでしょうか。

白いレース地の布に、金糸で民族文様のような刺繍がある布を合わせています。型紙を作るところから始まり、最後まで自分のイメージに近付けるよう制作を続けていました。一見シンプルですが、色々なデザインがされていて面白い作品です。
  明るくポップな印象のデザインです。上着にはポケットをたくさん付け、パンツにはお花のぬいぐるみを縫い付けて、気ままに楽しく生きていくことを理想として表現しています。
花火を描くことで刹那的なイメージを表現しています。過去や未来を重視せず、今この瞬間を充実させることを理想としています。エリザベスカラーを作り、上品な印象を出すこともできていますね。
お菓子のパッケージでパンツを作っています。また、お腹側と背中側に枕を付け、ところどころに猫の手触りのふわふわを付けています。よく寝、よく食べ(お菓子を)、よく猫と戯れることを理想として表現しています。
  首から額縁をぶら下げての登場です。額縁も木材と粘土、グルーガン、模造金箔で手作りしたこだわりっぷりです。パッチワークで繋ぎ合わせた古着のような服の、ちょうどモナ・リザの部分が額縁に合うようにしているのが面白いですね。
  絵の具だらけのスカートとマスク、そして何故か心臓を抱えての登場です。背中にはイーゼルを背負っています。心臓を捧げ、生涯にわたり描き続けたいという理想を表現しているのでしょうか。

 6つ目のグループテーマ

「Within Reach」

手が届きそう、実現可能という意味の言葉です。理想を実現できないものではなく、手の届くものとして捉えているということでしょうか。

 

  赤ん坊の服をモチーフとした衣装デザインです。ベビー服の寸法を自分サイズに変えながらの制作でしたが、サイズぴったりに完成しました。現在の自分ではなく、一度赤ん坊に戻ってやり直すことが理想への近道なのでは、というイメージを表現しています。
  内側の黒い部分を白いフードで覆うことで、自分とは違う姿を理想として表現しています。顔も民族文様のような面で覆っています。シンプルなフードの形状がかっこいいですね。
白いフリルに包まれたまっさらな状態から、転ぶことをきっかけに真っ黒なガウンに変わりました。内側に描かれたドロドロとした絵が、生々しい躓きを表現していますね。
  ちょっとゴシックなフリルがかわいいパッチワークのドレスです。花やリボン、ベルトなど自分の好きなもの同士を繋ぎ合わせて一つの作品に仕上げています。完成度が高く、本人にもとても似合っていますね。
  正面から見るとスタイリッシュな黒のドレスですが、背中はトゲがたくさん生えています。ミノカサゴの背びれのイメージなので、この背びれには毒があるのでしょうか。自分を着飾ることで身を守っているのかもしれません。

最後に、先ほど黒いガウンに変わった生徒がもう一度登場します。黒いガウンを脱ぎ捨てると、さらに華やかなドレスが現れました。一度は黒く染まったものの、乗り越えて理想を叶えるという思いが込められています。

実質3着の衣装を作った熱量には驚かされます。

 

最後に記念撮影!

数名の体調不良者が出てしまい残念ですが、精一杯の取り組みを見せてくれました。生徒たちにとっても、良い経験と想い出になればと思います。

当日ご来場いただいた皆様、ご家庭で制作を見守っていただいた保護者の皆様にあらためてお礼申し上げます。本当にありがとうございました。