学校長挨拶
令和5年度 第51回入学式 式辞
厳しかった冬が終わり、この藻岩山麓にも、すがすがしい春の息吹を感じられるようになりました。本校華道部が活けましたこの花も春を告げているようです。
今日の佳き日に、御来賓として
PTA会長 本校後援会である翠巒(すいらん)の会々長 同会監事
本校同窓会々長
そして、このように多数の保護者の皆様のご臨席を賜り、本校第51回入学式を挙行できますことは、私ども教職員一同、何よりの喜びとするところであり、心より厚く御礼申し上げます。
先ほど入学を許可いたしました240名の藻岩高校51期新入生の皆さん、「入学おめでとう。ようこそ藻岩高校へ。」
このようにさわやかで、若さにあふれた皆さんを迎えることができたことを、本校としても大変うれしく思います。
また、今日までお子様をいつくしみ育ててこられました保護者の皆様に、心からお祝い申し上げます。
さて、新入生の皆さんは今日から3年間の高校生活が始まります。皆さんの胸中は入学の大きな喜びと少しの不安、そして、大きな期待に満ちあふれていることと思います。皆さんが、藻岩高校での3年間を有意義に過ごすために、心に留めていてもらいたいこと。言うなれば「藻岩魂」を、教職員を代表してお話をさせていただきたいと思います。
後ほど、本校の校歌を本校合唱部が披露いたしますが。この校歌は詩人でもあります、初代校長の瀬戸哲郎先生が作詞をしたものです。この中に本校の建学の精神、すなわち「藻岩魂」が見事に謳い込まれています。それは「われら たけたかく こころ さかんに」という一節です。
「たけたかく」の「たけ」は身の丈などで使われるように、高さのことです。すなわち「たけたかく」とは、自分がこれからやってみたいこと、目標とすることなど、志を高く掲げよ、ということです。また、「こころさかんに」は自分の気持ちを高め、情熱をもって困難な事にも果敢に挑戦せよ、「一歩を踏み出せ」という意味が込められています。また、この言葉は我々教職員に対しても、「このような生徒を育てよ」という使命をも表しており、この一節を耳にするたび、私自身も身の引き締まる思いになります。
本校の学校教育目標は「創意ある個性豊かな生徒であれ」「強い身体と明朗な精神を持つ生徒であれ」「深い知性と豊かな情操に満ちた生徒であれ」「質朴で素直な生徒であれ」の4点です。これらの目標を達成し、卒業時に生徒の皆さんに身につけて欲しい資質・能力として5つのことを掲げています。
その5つとは、表現力や要約力、語彙知識である「ことばの力」、論理的思考力や判断力、創造力である「考える力」、俯瞰力や課題発見力といった「想いうかべる力」、挑戦する心や好奇心といった「試そうとする力」、そして、失敗を糧にできる力や、課題を遂行する力である「やり抜く力」の5点で、藻岩5Bsと呼んでいます。
これらを一言で表現したものが、校歌の歌詞にある「たけたかく こころさかんに」に集約されているのだと思います。本日この佳き日に、私から新入生の皆さんに対し、この藻岩の魂である「たけたかく こころさかんに」という言葉を、メッセージとして贈りたいと思います。
「失敗の科学」の著者で知られるマシュー・サイドが、現代社会においては「多様性」が極めて重要であるとして、次のように論じています。
『現代社会がますます複雑化し、様々な難題に個人で挑むには問題が複雑過ぎて対処しきれなくなっている。よって、個人ではなく多様性に富んだ集団が、チームとして機能しなければならない。多様なメンバーが互いを尊重して、きちんとコミュニケーションをとり、互いの反論を受け入れ、他者から学び、協力し合えなければならない。そして、既知のアイディアに触れ、新たなアイディアを閃き、他のものと融合し、それを互いに共有してこそ、新たなイノベーションを生み出すことができる。』
ここにいる藻岩高校51期生はかけがえのない仲間です。そして一人ひとりが個別のパーソナリティを持っている多様性に富んだ集団です。
この多様性を持ったメンバーを互いが認め、互いから学び、互いに協力してください。
そして、君たちには是非、そのような関係から生まれてくる新しいアイディアから社会的意義のある新たな価値を創造し、社会的に大きな変化をもたらすような大人になって欲しいと願っています。
最後に保護者の皆様にお願い申し上げます。高校生活の3年間は責任ある社会人として成長するために、自立の道を歩み出す時期です。
小中学校の義務教育の時代とは比べ物にならないほどの様々なことに遭遇することと思います。そのお子様の心のより所は、なんといってもご家庭です。思い悩んでいるときは、温かく見守って頂くとともに、励ましの言葉をかけていただきたいと思います。時には、そっと背中を押して、一歩前に出る勇気を与えていただきたいと思います。
また、高校生は、多感な時期で、様々なことに思い悩む時期でもあります。本校には週1回、スクールカウンセラーが常駐しており、生徒ならびに保護者の方々の相談を受け付けております。あわせて本校では2人担任制を採用し、複数の目でお子さまを見取り、個別最適な支援を行う体制をとっております。何か心配事がございましたら、遠慮なく担任あるいは年次主任・教頭にご相談いただきたいと思います。
お子様の成長を育むことは学校だけでできることではありません。ご家庭と連携を密にして、開かれた学校づくりを推進して参りますので、本校の教育活動にご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。
結びになりますが、本日入学いたしました「藻岩高校51期生」の皆さんが、充実した3年間の高校生活をすごし、未来に向かって逞しく成長することを心より願い式辞といたします。
令和五年年四月十日
市立札幌藻岩高等学校長 尾﨑茂樹

登録日: 2013年4月19日 /
更新日: 2019年4月9日