厳しかった冬が終わり、まだ肌寒い風の中にも、春の香りが感じられるようになりました。

本日の、この佳き日に、

本校PTA会長   鈴木 郁恵 (すずき いくえ)様、

 紫翠会理事長    田守 隆行(たもり たかゆき)様

 紫雲会会長     山本 清和(やまもと きよかず)様、

 南円山連合町内会長   井場 行(いば こう)様、

をはじめ、多数のご来賓の皆様、保護者の皆様のご臨席を賜り、本校第62回入学式を挙行できますことは、私ども教職員一同、なによりの喜びとするところであります。

先ほど、入学許可をいたしました、新入生の皆さん、改めまして入学おめでとうございます。今、皆さんの胸の中は、入学の喜びと、今後の高校生活に向けての大きな期待に満ちあふれていることと思います。

また、お子様を今日までいつくしみ育んでこられました保護者の皆様、お子様のご入学を心よりお祝い申し上げます。私ども教職員は、お子様への指導に、渾身の努力をもって務めることをお約束申し上げます。

 

 旭丘高校は、昨年度開校60周年を迎えた歴史のある学校です。一九五八年(昭和三十三年)、普通科高校の開設を求める多くの市民の方々の運動が実って開校しました。以来、札幌市立高校の中で、最も古い全日制普通科高校として、アカデミックな校風のもと、二万人を越える優秀な卒業生を送り出し、市民の大きな期待に応えてきました。その後、創立四〇周年を機に「道しるべ この坂越えん」を制定しましたが、教職員・生徒がより高みを目指すための大事な言葉になりました。さらに、二〇〇四年(平成一六年)には、道内の全日制普通科公立高校では最初の単位制高校となり、一人一人の生徒の意志や個性を大切に、大学や社会に通用する高い教養や資質を育成し続けてきたのです。旭丘高校は、市民に支えられながら、たえず未来を見据えて、新たなことに挑戦し続けている学校であり、その中で自覚と責任とに裏打ちされた自主・自立の精神がしっかりと受け継がれてきたことも、忘れてはいけないことです。皆さんが、そういう旭丘高校に仲間入りし、一緒に新たな挑戦を続けられることに、私は、大きな期待を感じています。私たちと一緒に、それぞれの持てる力を発揮して一歩一歩成長しながら、次の旭丘高校を築いていきましょう。

 

中国の古典に「論語」という有名な書物があります。約2500年前の孔子という人物の言葉を記したものですが、現代に生きる私たちも、折々に心に響く言葉に出会うことができる、時代を超えて読み継がれる価値のある書物だと思います。この論語の中に、「女(なんじ)君子の儒となれ」という言葉があります。「儒」とは学者という意味です。孔子が子夏(しか)という弟子に対して、「あなたは志の大きい徳の高い、いわゆる君子の学者となりなさい」と言いました。この言葉に続けて「小人の儒と為ることなかれ」と言います。志が狭く、自分のことしか考えていないような学者にはなってはいけない、という意味です。「君子」とは、よく「立派な人」などと訳されますが、天下すなわち世の中のために自分が何をなすべきかを考え実行しようとする人物のことを言います。子夏という弟子は、学問を好む学究的な人物であったそうです。だからこそ、学問の世界に閉じこもるのではなく、志を高く持って、広い視野から、自分の学問を生かして世の中に貢献するような学者を目指してほしいと願ったのだと思います。私も皆さんが、旭丘高校での学びによって、視野を広げ、考え方を深め、自らが、未来に向けてどう生きるのか、志をはぐくみながら努力する、三年間を過ごしてほしいと思います。

 

そのために、みなさんに、心にとめてほしいことが二つあります。

一つ目は「大いに学んでほしい」ということです。生涯にわたって様々なことを学び、進むべき方向を見定めていくことは、これからの変化の激しい世界を生きる皆さんにとって欠かすことのできない資質です。高校時代を通じ、ぜひ、多くを学び、自分の世界を広げ、見識を高めていってください。そして、学び方を身に付け、学んだことを生かす力を身に付けてください。

二つ目は、「いろいろな人と出会い、豊かな関係を結んでほしい」ということです。

学校生活では、多くの人とともに生活し、各自が責任を分担していきます。まさに社会の縮図です。「いじめを許さない強さ。」「人の気持ちに寄り添うことのできる優しさ。」「人と人とをつないで、物事を進めていく面白さ。」これらを、高校生活のさまざまな体験をとおして感じ、自分のものにしてください。

皆さんは、一人一人が唯一無二のかけがえのない存在です。その一人一人が三二一通りのかけがえのない高校生活を通して学びを深め、自己を築き、自らが生涯にわたって生きていく上での「志」をはぐくんでほしいと思います。

 

保護者の皆様にお願い申し上げます。お子様をはぐくみ成長を支援していくためには、ご家庭と学校が密に連携し、協力することが何より大切です。どうか、学校の教育方針にご理解を賜り、お子様が、成長し、自立していく過程を、温かく見守り、励ましの言葉をかけていただきたいと思います。学校もご家庭や地域の皆様のご理解が賜れるよう、開かれた学校づくりをなお一層推進して参りたいと思います。宜しく、ご協力とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 

最後になりますが、本日、晴れて入学式を迎えられました、「旭丘高校62期生」の皆さんが、これから実り多き高校生活を送り、逞しく成長し、社会へと巣立っていかれることを心より祈念し、式辞といたします。

 

平成三十一

市立札幌旭丘高等学校長  林 恵子