新入生の保護者の皆様、こんにちは。本日はお忙しいところ、また、足元の悪い中、新入生保護者説明会にお越しいただき感謝申し上げます。本日は、この4月から6年間過ごす本校について、特色ある教育について少しお話しさせていただきます。

札幌市教育委員会が2011年3月に策定しました「札幌市中高一貫教育校設置基本構想」には、育てたい生徒像として、「6年間の連続した学びを生かし、札幌で学んだというアイデンティティを持ちながら、将来の札幌や日本を支え国際社会で活躍する、知・徳・体のバランスの取れた「自立した札幌人」を育てると記されています。この「自立した札幌人」とは、

・未来に向かって 新たな価値を創造し 主体的に学び続ける人

・自他のよさや可能性を認め合い しなやかに自分らしさを発揮する人

・ふるさと札幌に誇りをもち 持続可能な社会の発展に向けて 行動する人

と、「第2期札幌市教育振興基本計画」に記されており、本校もこの「自立した札幌人」の育成に向けて、教育活動を進めています。

先に示した育てたい生徒像を踏まえ、「わたし、アナタ、min-na そのすがたがうれしい」から始まる学校教育目標を定め、「生涯にわたって学び続ける力」を身に付けるため、6年間の全ての教科等で「課題探究的な学習」に取り組んでいます。「課題探究的な学習」とは、「自ら疑問や課題をもち、主体的に解決する学習」を指し、「国際バカロレアIB」の教育プログラムを活用して、「課題探究的な学習」を進めています。

授業では話合いをする場面が多くあります。定期テストがありませんので、評価のために、たくさんのレポートを書かなければなりません。1年生も例外ではありません。しかし、それをきちんとこなしていけば、生徒たちは大きな武器を手に入れます。将来にわたるスキルの獲得です。特に発展期の生徒、5・6年生を見ていると、身に付けたものは強靭です。

また、文部科学省から指定されている「スーパーサイエンスハイスクールSSH」も今年度は第3期3年目、通算13年目の取組となり、今期は中学校段階からの取組を行っております。SSHに関わる取組については、道内の他のSSH校との交流をはじめ、全国のSSH報告会でのポスターセッション、海外の学校との交流などがあり、各生徒には積極的な行動が求められています。

さらに、本校独自の教育プログラムであるSELFでは、主体性(自分の力で課題を見付け、解決する力)を育成していきます。これを「物ごとの自分ごと化」として捉え、様々な取組を行っています。例えば、SELF式3者面談、本校では自分プレゼンと言っていますが、通常の3者面談とは異なり、生徒が現在の自分の状況や将来のことなどを、自分から保護者や担任へ説明するということを行っております。

IB,SSHSELFの3つを主軸として、本校では教育活動を推進しています。今後、様々な場面で、この3つに触れることがありますが、少しずつ理解を進めていただき、御協力いただければと思います。

現在、様々なところで「社会が急速に変化しており」という言葉を耳にします。技術革新の急進もさることながら、予想をはるかに超えるスピードで社会は変わってきています。また、報道でもお分かりのように、地政学的なこともあり、世界の人々の価値観は多様化を極め、そのような異なる価値観の人々とどのように折り合いをつけて交流していけばよいのか、難しい社会になってきています。

このような社会背景を踏まえながら、これからお子様が経験する6年間の学びは、ほとんどの保護者の皆様ご自身が中学校や高校で経験していない学びです。

従来のように正解が一つに決まるような問いは、社会ではほとんどありません。学びを進めているとき、私たち教員は必ずしも答えをもっているわけではありません。私たち教員は、生徒と並んで歩くファシリテーターの役割と自認しています。一緒に考える、そんな役割です。

しかし、12歳から18歳という成長期の年齢は、本当にこれでいいのかと、常に自分の心と闘っている時期でもあります。ぜひ、保護者の皆様におかれましても、お子様と並んで背中を押してあげる存在になってあげてください。

最後に、「木を切り倒すのに6時間もらえるなら、私は最初の4時間を斧を研ぐのに費やしたい」、これはアメリカの第16代大統領リンカーンの言葉です。この言葉を開成に当てはめるなら、「開成での6年間の学びの中で、MYPの4年間は準備期間である」ということになります。子どもたちは難しいことを多く経験し、その難しいことに立ち向かう必要もあります。しかし、失敗することも多くありますし、むしろ失敗することの方が多いかもしれません。準備の期間に、失敗から多くを学んでほしいと思っています。

長くなりました。このあと、本校の教育活動の様子や学校生活などについて、担当からお話しさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 

令和7年(2025年)2月26

校 長  宮 田 佳 幸