先月、円山競技場で開催された高体連札幌支部高等学校陸上競技選手権大会の当番校業務を行ってきました。5日間にわたる熱戦が繰り広げられ、今月旭川で開かれる全道大会への出権を獲得した選手には、表彰式で賞状をお渡しし、力及ばず敗れ去った選手には、その努力をたたえることはもちろん、ねぎらいの言葉をかけさせてもらいました。

大会の数ある種目の中に、男子に8種競技、女子に7種競技という種目がありました。、100m走、400m走、1500m走、110mハードル走、やり投げ、走り高跳び、走り幅跳び、砲丸投げを競う男子の8種競技に、本校5年次生の池田鉄雄さんが出場し、惜しくも12位となり、全道大会への出場は叶いませんでしたが、来年は全道大会に出場したいとの決意があり、今後の活躍を期待したいところです。その池田さんに、大会終了後、話を聞く機会がありました。

トラック種目もフィールド種目もある程度は力を発揮することができていましたが、特定の種目で支部予選を勝ち抜く力はないと自覚していました。8種競技の魅力は全ての種目がバランスよくできるので自分に向いていると思ったことと、身近にこの種目をやっている先輩がいたことなどがこの競技をはじめるきっかけになりました。学校では8種目全てを練習することができ、例えば足を痛めて走ることができなくても、投げる種目の練習ができるところが魅力ですと語っていました。

高校生段階では8種競技ですが、オリンピックや世界選手権では男子は10種競技(上記8種競技に、円盤投げ、棒高跳びが追加)となり、2日間で「走る、跳ぶ、投げる」という陸上のあらゆる要素を持つ競技をこなし、その過酷さから優勝者は「キング・オブ・アスリート」と称されています。この10種競技に出場する選手は10種目全てに長けているわけではなく、得意な種目もあれば苦手な種目もあり、日本でこの10種競技の第一人者である北海道出身の右代啓祐さんは「スポーツ応援サイトGROWINGすべてのスポーツにエールを」の中で次のように語っています。昔は得意な種目しか練習しなかったので、大学卒業の頃に成績が伸び悩みました。そこで苦手なものと向き合うことは大切だと感じました。僕は走ることが苦手なので、まず自分が考える速く走るための要素を書き出したら、ほんのちょっとしかなかったんです。そこで速く走るためにはどんな要素が必要で、その中で自分は何が苦手なのかを考えたり、人にアドバイスをもらったりしながら、少しずつ得意なものに変えていくクセをつけました。苦手な分野は、裏を返せば、自分の中に眠る未開発の領域でもあります。得意で積極的に取り組んできた分野以上に、そこには飛躍的に成長する可能性が溢れています。これは10種競技に限らず、人生にも当てはまることでもあります。苦手なものを苦手と思わず、得意なものに変えるために行動することが、すごく大事だと思うんです。大学院時代に2年間ほど(現タレントで、十種競技の元日本陸上競技選手権大会優勝者である)武井壮さんに指導していただいた際、思い通りに倒立歩行できない自分に気付かされました。止まったり歩き出したり、自分の身体をコントロールできなかったんです。そこで上手く身体をコントロールできるように、苦手なマット運動から克服していきました。倒立ができるようになって、倒立歩行、バック転、バック宙と徐々にクリアしていくと、いつしか進んで『やりたい』と思えるようになりました。

今でも、苦手なものを簡単なことからクリアして自信を付けていく作業の繰り返しです。人生にも苦手なことはたくさんあるじゃないですか。そこに繋がっていくと思うんですよね。10種競技を通じて苦手を得意に変える方法をたくさん見つけ出せるようになりました。  苦手を克服することは難しいことではありますが、あえて苦手なことに挑戦していくことも生きていく中では必要なことだと思いますし、たとえ苦手を克服できず得意なものにならなくても、それに挑戦したということが自分の経験として残ることも価値があることではないかと考えますが、皆さんはどう思いますか。

        サイトのULR https://www.toto-growing.com/interview69

インタビュー : なぜ苦手に挑戦するのか 十種競技の日本記録保持者が語る人生との共通点 

 

令和6年(2024年)6月10日

 

  校 長  宮 田 佳 幸