街の中は雪解けも進み、グラウンドを覆っていた雪もすっかりなくなりました。草木の新しい芽が膨らみ、可憐な花が咲き始める季節となり、ようやくここ札幌にも春がやってきました。

そのようなうららかな春の日である本日、新たに市立札幌開成中等教育学校の仲間入りをした第十三期生の皆さん、入学おめでとうございます。全ての在校生と教職員を代表して、皆さんの入学を心から歓迎いたします。また、保護者の皆様におかれましては、お子様の本校への御入学、誠におめでとうございます。

このような佳き日に、PT会会長でいらっしゃいます○○○○様、資友会会長でいらっしゃいます○○○〇様の御臨席を賜り、第十回入学式を行うことができますことに、心より感謝を申し上げます。

さて、今年度、本校は開校十年目を迎えます。そのような節目にあたり、本校の学校教育目標に込められた思いを皆さんと共有したいと思います。

ステージ正面に向かって左側に、学校教育目標「わたし アナタ min-na そのすがたがうれしい」が掲げられています。「わたし」はひらがな、「アナタ」はカタカナ、「min-na」はローマ字です。

わたしは、隣にいるアナタとも、その他大勢のmin-naとも違います。実は、この当たり前のことを、私たちは忘れてしまっていることがよくあります。例えば、わたしをアナタと比べて、わたしはアナタより上だと思って優越感をもったり、アナタには到底追いつかないと思って劣等感をもったりしたことはありませんか。また、min-naの中で自分は、どの位置にあるかということが気になり、その順位に一喜一憂したことはありませんか。

そもそも違っている者同士で比べ合い、優劣をつける事に意味はあるのでしょうか。もし比べることに意味があるとしたら、それは同じ者同士の場合でしょう。すなわち、今日のわたしは昨日のわたしからどのように変わったかということを振り返ってみたりする場合です。

min-naが、このように他人と比べるのではなく、自分自身と向き合いながら学校生活を送ることができれば、必ずや、わたしと違う個性や得意分野をもっている、隣にいるアナタのことを、妬ましく思ったり、嫌だなあと思ったりすることなく、「アナタは、わたしにないものをもっていて素晴らしいなあ」と素直に思える生徒たちが溢れる素敵な学校になることと思います。これが、お互いの個性が尊重されているすがたです。わたしはひらがなのまま、アナタはカタカナのまま、min-naはローマ字のままでいられるので、当然、そんな学校はいじめとは無縁の環境となります。

わたしがわたしのままでいていいこと、アナタやmin-naがそれを認めてくれることを実感できたとき、わたしの心の中には「うれしい」という感情が自然と湧き上がってくるのだと思います。本校は、min-naが常に、そんな思いを実感できる学校でありたいと願っています。是非、そのような学校で、私たちと一緒に、日々「わたし、アナタ、min-na そのすがたがうれしい」を感じてほしいと思います。

改めまして、保護者の皆様、お子様の御入学、誠におめでとうございます。本校は、この学校教育目標のもと、国際標準の教育プログラムである国際バカロレアIB、先進的な理数教育や国際性を育む取組を行うスーパーサイエンスハイスクールSSH、本物の体験を通して物事を自分ごと化し主体性を育む本校独自の教育理念SELFの三つを柱として、「自ら疑問や課題をもち、主体的に解決する学習」である課題探究的な学習を推進しています。在学中、子どもたちは様々ことを経験します。失敗もたくさんすると思いますが、どうぞ、温かくお子様を見守っていただき、私たちとともにその背中を支えていただければと思います。

また、本校では、私たち教職員も学習者として研鑽に努め、お子様の六年間の成長に資するよう努力を重ねてまいりたいと考えております。保護者の皆様におかれましても、是非、私たちと一緒に学びを楽しみながら、お子様が六年間じっくりと課題探究的な学習に向き合うことができるよう御協力、御支援をお願い申し上げます。

結びになりますが、新入生の皆さんの、これから始まる本校での学校生活が、未来を切り拓く充実した六年間になることを願い、入学式の式辞といたします。

 

令和年四月八日 

市立札幌開成中等教育学校 校長 宮田 佳幸