1月4日(金)・5日(土)

 イギリス語学研修は、新千歳空港での出発式から始まりました。式には、校長先生を始めとする先生方、多くの保護者の方々にお集まり頂きました。校長先生から、これから研修に向かう40名にメッセージを頂き、生徒代表からこの研修に向けての抱負を伝えました。

出発式の様子

多くの保護者の方に見守られながらチェックインを済ませ、セキュリティゲートを抜け、いよいよ飛行機に乗り込みます。まずは経由地である香港を目指して約6時間のフライトです。機内では、テキストを広げて英語の勉強をする姿も見かけました。香港からイギリスへは、約13時間という長時間のフライトでしたが、それぞれが思い思いに過ごしました。

新千歳空港にて

飛行機を降りて、最初に挑戦するのは入国審査です。どんな質問があるのか、どう答えれば良いのか、飛行機の中では笑顔で過ごしていた一同にも、表情に陰りが出始めます。先生が審査員に「私達は40名のグループだ」と告げたところ、「40名のグループ!?では一気に来て!」と人数の多さに驚いた審査員が、どんどんと生徒を通してくれました。難しい質問をされたらどうしよう…と緊張していましたが、滞在日数や滞在場所など、簡単な質問を聞かれるだけとなりました。少しほっとした表情を浮かべながら空港を抜けると、これからお世話になる語学学校Studio Cambridge(SC)のスタッフの方が出迎えてくれました。

 イギリスに到着し、最初に向かうのはロンドンです。SCスタッフとロンドン市内を案内してくださる日本人ガイド石垣雷(いしがき・らい)さんと、ロンドンの市内を散策します。石垣さんは在英20年以上、公式資格をお持ちの熟練のガイドです。まずはロンドン塔。テムズ川岸に築かれた城塞であるロンドン塔は、もともと城砦として11世紀に立てられました。国王の宮殿、造幣所、天文台、動物園など様々な用途で使われてきた塔ですが、監獄としても使われてきました。ロンドンに到着して早々、この塔で行われてきた幽閉や処刑の歴史を伺います。イギリスの歴史の深さを考えながら周囲を見渡すと、近代的なビルがそびえています。石造りの城壁と、ガラス作りの近代的なオフィスビルが連立する風景は、感慨深い気持ちにさせられます。その後、タワーブリッジ、ロンドンアイ、旧市庁舎、ウェストミンスター寺院を通り抜け、コヴェントガーデンマーケットでランチ休憩となりました。本日のロンドンは8℃。札幌に比べたら暖かい日でしたが、3時間近くロンドンを散策していたので、さすがに体は冷えてきました。しかし、中にはイタリア産のアイスクリームを頬張る女子生徒もおり、生徒の皆さんは元気にロンドンを満喫していました。ランチの後は、セントポール大聖堂を見学に行きました。ロンドン市内観光が終わり、一同はケンブリッジに向かいます。バスで約2時間の移動。長時間のフライト、ロンドン市内の散策と、疲れた体に心地よく車の振動が響きます。研修の舞台であるケンブリッジに到着すると、ホストファミリーのお宅に向かい、手配されたタクシーに乗り込み出発しました。いよいよファミリーとの対面です。明日は日曜日なので、語学学校でのレッスンはありません。ファミリーと一緒に過ごしたり、ケンブリッジの街を散策したり、旅の疲れをゆっくり癒したり、ホームステイを一緒にしているペアの生徒と相談して過ごすことになります。

  ロンドン塔          タワーブリッジ

ウェストミンスター寺院      トラファルガー広場にて

 


1月6日(日)

研修3日目。本日は日曜日なので、ホストファミリーと一緒に過ごします。ファミリーとショッピングに出かけたり、語学学校(SC)までの行き方を教えてもらったり、ゆっくり旅の疲れを癒したりと、それぞれの休日を過ごしてもらいました。

King’s College         Fizwilliam Museumの古代エジプト美術展示室   

 

ケンブリッジの街を散策したいという希望者は、午前中に語学学校に集まってもらいました。明日から始まる学校生活の中でも、学校周辺を散策する機会はあります。また、ケンブリッジ大学の学生とのキャンパスツアーもありますので、今日は主にカレッジの周辺を歩きました。ケンブリッジ大学(Cambridge University)は、31のカレッジからなる大学(University)で、その起源はキリスト教の全寮制修道士養成学校に遡ります。ケンブリッジ大学を代表するカレッジの一つKing’s Collegeの前で記念撮影をしました。また、向かいにあるグレートセントメアリー教会は有名な宇宙物理学者である、スティーブン・ホーキング博士の葬儀が行われた教会です。カレッジや教会を抜け、石畳を進んでいくと、芝生の中にひっそりと立っているリンゴの木に出会います。Trinity Collegeの外にあるこの木は、万有引力の法則の発見に寄与した「ニュートンのリンゴの木」と言われています。教科書で目にする偉人達が、街のあちこちで息づいている。歴史の重みを肌で感じつつも、一歩路地を入ると、そこには近代的なショッピングモールもあります。しばしランチ休憩をはさみ、次に向かったのは数学橋です。ケム川にかかるこの橋は、優美なアーチを描き、その設計には綿密な計算、高度な建築技術が用いられていると言われています。その橋の下には、長いポールを手にした船頭が漕ぐボートが行きかいます。優雅なイギリスの昼下がり。そんな言葉が思い浮かぶほど、ここではゆっくりとした時が流れていました。

さて、ケンブリッジの散策はこれにて終了です。ファミリーのお宅に向かって帰る為に、カレッジ近辺で解散となりました。SC方向に帰る生徒達は、その道すがらある美術館に立ち寄りました。ギリシャ様式の門柱が素晴らしいFizwilliam Museumです。モネ、ルノワール、ドガ、ブリューゲル、エル・グレコ、ヴァン・ダイクといった名品が並びます。さらにエジプトのミイラ用の棺、アテネの戦士を描いた壺、ギリシャ・ローマ時代の彫刻など、貴重な展示品を鑑賞できました。「立ち寄った」と表現するにはあまりに貴重な作品の数々に酔いしれ、全員が帰宅の途に着きました。


1月7日(月)

 今日から語学学校(SC)への通学が始まります。ホストファミリー宅からSCへは、ホームステイのペアと共に自分達の力だけで通います。昨日は日曜日なので、各自ファミリーに通学方法を聞いておくことになっていました。時間通りに全員が集合出来るのか、少しの不安と期待を胸に登校してくるのを待ちました。集合1時間前から生徒が集まりだし、ファミリーと過ごした週末の様子を教えてくれました。余裕を持って学校に向かう為に、早い時間のバスに乗った生徒は少なくありません。最終的には全員が約束の集合時間前に集合することが出来ました。初めての土地、とりわけ海外で公共交通機関を用いて動くのは、想像以上に難しいことです。日本では当たり前のように出来ていることが、こちらでも当たり前に行動する。その為にどれだけの下調べと先を読んだ行動が必要になるか、身を持って感じられたことと思います。

 

1時間目は、クラス分けテスト(プレイスメントテスト)が行われました。これから受ける授業が、どのクラスに割り振られるかが決まる大切なテストです。内容は筆記試験と口頭試験の二つ。筆記試験は四択問題で、日本の授業でもおなじみの形式で問われます。前置詞や時制を選ぶなど、決して簡単すぎることはありませんが、それほど抵抗なく進められました。口頭試験は、一人ひとり先生を相手に話しをしていきます。簡単な自己紹介から始まり、趣味の話題、日本の学校での生活など、試験とは言いつつもリラックスした雰囲気で行われました。

 口頭試験の様子          オリエンテーション

                 

また、クラスの希望も聞かれました。学校で学ぶトピックを中心に学ぶアカデミッククラスと、リーダーシップの育成やビジネスを意識したトピックで構成されるグローバルクラスの二つです。テストの後の授業は、この2クラスに分かれて行われました。

今日は初回の授業だったので、自己紹介やお互いのことを知るためのテーマがメインでした。自分を表現する言葉を考えながら、紹介文を作るクラス。ペアになった留学生のことをクラスの皆に伝えるクラスなど。中にはペアワークをする中で相手の言っていることが分からずに、何度も何度も繰り返し聞いてしまい、「こんなに質問して、もういい加減迷惑なのでは…」と思うこともあったようです。クラスの流れについていこうと必死に授業内容に食らいついていたところ、先生から「今日は簡単な授業だよ」と言われ落ち込んだ生徒もいました。仲良くなった留学生と、学校内で出会う度に「Hi!」と挨拶を交わす。そんな些細なことがとても嬉しい。明日ももっと話せるようになりたい、と笑顔で伝えてくれる生徒もいました。悲喜交々の初日のレッスンは、こうして終了しました。

カフェテリアでのランチ

 レッスンの後は、SCのスタッフと共にウォーキングツアーに出かけました。この月曜日に学校に通い始めた留学生と共に、ケンブリッジの街にある主要なカレッジや教会を巡ります。カトリック教会、美術館、King’s College、Trinity College、 St John’s Collegeなど、それぞれのカレッジの特徴や有名な卒業生などを教えて頂きました。物理学者スティーブン・ホーキング博士のかつてのお住まい、進化論の創始者チャールズ・ダーウィンが学んだカレッジ等々、ケンブリッジの重みがわかってきます。共にツアーに参加している留学生との会話も、少しずつ盛り上がりを見せました。今日のランチでも、果敢に留学生に話しかけ、一緒に食事を取っている生徒もいました。もちろん人によって差はありますので、なかなか話しかけられずに日本人同士で固まってしまう姿も見受けられました。どう話しかけて良いのかためらう気持ちは分かりますが、ここでの滞在は決して長くはありません。自分の殻を破って、どれだけ行動に移せるのか。明日からの成長の様子が楽しみです。

ケンブリッジ旧市街のウォーキング・ツアー


1月8日(火)

 イギリスにしては珍しく、青空が見える朝となりました。研修の折り返しとなる5日目。SCへの登校も慣れてきたようです。昨日とは違い、笑顔を浮かべながら登校する生徒、他国の留学生とお喋りをしながら歩いている生徒も見られました。昨日行われたプレイスメントテストの結果を確認し、それぞれのクラスへと向かいます。

 テストの結果、6つのクラスに編成されました。旭丘の生徒がクラスの半数を占めるクラスもあれば、クラスの日本人はたった2名というクラスもありました。留学生が大半を占めるクラスでは、周りの勢いに圧倒されてしまい、「自分は何も話せなかった」という状況も珍しくありませんでした。テストの結果に基づいてクラス分けをしているので、英語のレベルは同じはず。それにも関わらず、レッスン中は何も話せない。先生や留学生の会話についていけない。何を言っているのかも分からない。悔しい。そんな声が聞こえてきます。もちろん「間違っていても良いから、とにかく発言する!恥ずかしいとかどうでもよくなってきた!」と前向きに取り組んでいる生徒もいます。明暗を分けている鍵は、行動に移せるかどうかのようです。

 カフェテリアにて

 本日の午後は、イギリスで活躍する日本人のゲストをお招きしてお話しを伺いました。講師はケンブリッジ在住の「City Ambassador(シティー・アンバッサダー)、野美山 ルミ子さんです。伝統的なコスチュームをまとってケンブリッジ市内を巡視し、観光客の案内やショップにアドバイスをするのが仕事。野見山さんは日本人として初めて最優秀アンバッサダーの称号を授与されています。高校時代からイギリスで働くまでの自分史を語っていただきました。

講師の野見山ルミコさん

 引っ込み思案だった野美山さん。しかし、高校生の時に一念発起して海外旅行のツアー・コンダクターになりたいと思い、カナダでのワーキングホリデーを経てアメリカに向かいます。その後渡英し、現在ではケンブリッジの街を知り尽くすようになりました。とはいえ、最初から英語が得意だったわけでは無いようです。ホームステイをしていた時、仕事をしている時、何度も壁にぶつかり一人で枕を濡らすこともありました。「あなたは向いていない」と周囲の人々から言われた時もあきらめず、自分がやりたいことを一番に考えて取り組んできました。野美山さんは、白い紙とケンブリッジの地図を一人ずつ配られました。「その紙に自分の夢を書いてください」そして地図を見て「自分がアンバッサダーだとして、道を尋ねられたらどう答えますか?」と問われました。「最短距離の道を教える。」「徒歩ではなくてバスに乗る!」色々な答えが出てきます。野美山さんは、「どの道を通っても最終的に目的地に到着すれば良い。自分の夢がはっきりしていれば、たどり着ける方法はある。寄り道をしても良い。人生は選択の連続だけど、自分の夢や自分の選択に自信や誇りを持って欲しい。」と仰いました。偶然にも本日は物理学者ホーキング博士の生誕日。”Remember to look up at the stars, and not down at your feet(星を眺めていた自分を思い出せ、決して卑屈になるな)” 有名な博士の言葉と共に、小さなガラスの小瓶とキラキラした小さな星のモチーフを、一人ひとりに渡してくださいました。野美山さんとの出会い、私たちに向けて語ってくださったメッセージを、星と共に小瓶の中へ入れます。とても素敵な、忘れがたいギフトを頂きました。

 

その後は、生徒から沢山の質問が上がりました。「日本にいながら英語を勉強するのは難しいのか」「英語が通じない時どうすれば良いか」「心が折れた時はどうやって乗り切るか」一つひとつの質問に丁寧に、可愛らしいユーモアを交えて答えて頂きました。

 イギリスでの生活も、終わりが見えてきました。ホストファミリーとの交流、留学生との英語レッスン、そしてゲストとの出会い。日々、多くのことから刺激を受けています。ここで学んだこと、かけがえの無い経験を、今後にどうつなげていくのか。研修後半は、その事を意識しながら取り組んでいきたいと思います。


19日(水) 

  今朝も快晴に恵まれたケンブリッジの街。生徒が通学してくる時間は、街が動き出す時間でもあります。地元の学生や社会人の方々と一緒に石畳の道を歩いてくる旭丘生。初めて通学した時には不安げな表情を浮かべていましたが、今では慣れた表情で通ってきます。

 本日の午前中は、生徒たちの授業参観させてもらいました。生徒の英語力に合わせて、大きく3つのグループに分けられました。アッパークラスは討論中心です。Phil(フィル)先生の授業では、リスク管理をテーマにして、自転車の乗り方や「バンジージャンプ」を例に出して討論が行われました。アルゼンチンやスイスなどの生徒に混ざって旭丘の生徒達も、臆することなく自分の意見を堂々と述べていました。Gaily(ゲーリー)先生のクラスでは、制服の是非について、言語を学ぶ意味について、これも討論中心の授業を行っていました。クロアチア、アルゼンチン、ウルグアイ、スイス、スウェーデンなど。様々な国の生徒とともに討論に熱心に参加しようとする生徒たちはとても成長したと思います。

 フィル 先生の授業

 午後は、ケンブリッジ大学の学生によるキャンパスツアーでした。合計8人の大学生・大学院生・研究者が、40名の生徒を4グループに分け、1グループに2人ずつ、1時間半案内して頂きました。ケンブリッジの由来となったケム川を、カレッジの裏側にある芝生を通って行きます。「私はここに通っているから、こっそり見せてあげるわ。」と言ってくれた中国系の学生。クレア・カレッジの裏門。パスワード使って開けて、私達を中に入れてくれました。隣にあるのはトリニティー・カレッジです。「トリニティー・カレッジって、皆が知っているニュートンが学んだところなの。彼は万有引力の法則を発見したわよね。」と語りながら案内を続けてくれました。                                                                                           

 

トリニティ・カレッジ

 

最後に、4グループ全員が集まってアクティビティーを行いました。1人の学生を5名の旭丘生が取り囲み、ざっくばらんとした雰囲気の中、様々な質問に答えてくれました。全員の学生と話せるように、1グループ5分ずつローテーションを組みます。途切れることなく賑やかな話し合いが続きました。気がつけば、午後6時。別れの時間を迎えました。熱気に帯びた会場、満足げな表情を浮かべた生徒達。イギリスに到着した頃には、こんな表情を浮かべて英語で話が出来るようになる時が来るとは、なかなか想像が出来ませんでした。後で学生たちのリーダーがこっそり教えてくれました。

「実は以前日本の大学の学生グループと同じようなアクティビティーを行ったことがあります。今回の高校生は大学生よりもはるかに積極的に討論に参加しましたね。驚かされました、また楽しませてくれました。」全力で取り組もうとする生徒の姿には、本当に驚かされます。

 

ケンブリッジ大学学生とのアクティビティ

 


1月10日(木)

本日はSCで授業が行われる最後の日です。生徒達は登校するとすぐにカフェテリアに向かいます。多くの留学生が集まるカフェテリアは、仲良くなった留学生と朝の会話を楽しむ場所でもあります。お互い今日が最後の日だと分かっていますので、あちこちで別れを惜しむ声が聞こえます。連絡を取り合おうと約束する声、何度もハグをする姿。別れは辛いものですが、日本に戻ってからも交流することは出来ます。大学生や社会人になったら、ここで出会ったイタリアやブラジルに住む友人を訪ねに行くことも出来るのではないでしょうか。いつかどこかで再会することを願って、今はしばしの別れに言葉を交わします。

午後の授業は、アカデミック・イングリッシュと呼ばれる文法と語法に重点を置いたコースとグローバル・リーダースと呼ばれるプレゼンテーションを中心としたコースに分かれました。アカデミック・イングリッシュではある単語の用法、同義語と反対語を先生と生徒が対話をしながら理解を深めていました。グローバル・リーダースでは、4~5人のグループに分かれて商品の開発や企業創設をロールプレイで進めていきます。もちろんグループにはロシア人、アルゼンチン人、ウルグアイ人なども混ざっています。英語をツールとして討論を行い理想の商品を開発する、あるいは理想の企業を始めてみようとするアクティビティでした。

最後の授業が終わったところで修了証書授与式が始まりました。旭丘の生徒がカフェテリアに集まり、Tim先生から一人ひとり修了証書を受け取りました。受け身ではなく自分から働きかけていく学習、異なった文化の人々と意見を交わしながら1つのものを作っていく学習、生徒たちが今回の研修を通じて得難い経験をしたものと思います。修了書を受け取る姿は、どことなく頼もしく感じます。

 授与式の後は、本当に最後のアクティビティ、オリジナルマグカップ作りを行いました。白磁のカップに、思い思いのメッセージやイラストをペインとしていきます。イギリスの国旗、ケンブリッジの街並み、SCの思い出など。皆なかなかの出来栄えです。このカップを見る度に、SCでの生活を思い出すことでしょう。

 最後に全員で集まり、今回の研修を帰国後の学校生活でどのように生かすべきか問いを投げかけスタジオケンブリッジでの学習は終わりました。明日はロンドンでの研修です。大英博物館、ロンドン大学の訪問が待っています。

アカデミック・イングリッシュの授業 グローバル・リーダースの授業

  

修了証書の授与         マグカップの制作

 


1月11日(金)

研修8日目。今日はロンドン市内での研修です。午前8時にバスに乗り込み、向かったのはエリザベス女王の王宮、バッキンガム宮殿。時間の都合で衛兵の交代までは見られませんでしたが、セレモニー前の吹奏楽演奏シーンをチラリと見ました。

次に向かったのは大英博物館です。ガイドを務めて下さったのは1月5日(土)と同じ石垣雷(いしがき・らい)さん。全部見学するのにはほぼ1週間はかかるという広大な博物館。石垣さんは特に選りすぐった展示品を1時間で案内してくれました。古代エジプト文字解読のきっかけとなったロゼッタ・ストーン、古代エジプトのファラオの像、アテネのパルテノン神殿にあったレリーフ、アッシリアの神像、そして古代メソポタミアの都市国家ウルの発掘品。興味深い説明が続きます。

大英博物館にて

 次に向かったのはロンドン大学です。かつてはイギリス国教会信徒以外であっても学生を受け入れていた数少ない大学です。幕末に長州藩から送られた伊藤博文・井上馨ら5名の留学生、薩摩藩から送られた寺島宗則ら19名の留学生の名が刻まれた石碑が中庭にあります。

ロンドン大学にて     長州ファイブの石碑前

ロンドン大学(UCL)で教鞭を取っておられる紅林秀和(くればやし・ひでかず)氏、さらには東大医学部卒業後、ロンドン衛生熱帯医学大学院(LSHTM)で研究を続けている遠藤彰(えんどう・あきら)氏が旭丘生のために特別講義を設けて下さいました。

紅林先生(右)        熱弁を振るわれました   遠藤先生の講義

 紅林先生は熱く語ります。進路について自分の将来について、確たる自信が持てないまま野球に熱中していた高校時代。たまたま入学した大学でアルバイトに明け暮れる中、ふとした偶然の出会いから大学院への進学を決意し研究者への道を歩むことになった。

現代は世界を意識せざるを得ない時代、逃げることは出来ない。退路を断って頑張るしかない。その時役に立ったのは野球に情熱を傾けた日々だった。世界の人々と競争はもちろんだけど協調が求められる。となると必要不可欠なのは可能性を拡げる大事なツールである英語。そしてコミュニケーションスキル。でもそれだけではない。自分の何をもって貢献できるかを選び取る能力だ。

自分の可能性を信じる、自分と目の前にあるものを大切にする、勉強は大人になってからの学びの練習だ。焦る必要はない、勝負は20代後半から。そのためには目の前のことを高いレベルでマスターしていくのだ。

続いて遠藤彰(えんどう・あきら)先生が自分の実体験をもとにどのように入試に立ち向かうかを高校生目線にたって話してくださいました。

(志望校の模試をもとにして)自分の立ち位置を知る

 目標に向けてペース配分する

そして「物量で殴る」。

お二人のお話しは旭丘生の心に刺さるものがあったのではないでしょうか。

 ロンドン大学のキャンパスを出てバスに乗り込み、ケンブリッジに戻ります。金曜日の夕、ロンドンから脱出する車で渋滞。すっかり日は暮れて行きます。ケンブリッジ・ロンドン研修ももうすぐ終わり、参加生徒は来週から札幌での日常生活に戻ります。